影法師

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影法師

  • 著者名:遠藤周作【著】
  • 価格 ¥627(本体¥570)
  • 新潮社(2013/03発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101123073

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内容説明

聖職者でありながら、神の教えに背いて結婚し、教会を去っていくカトリック神父の内面の孤独と寂寥を抉る『影法師』、秀吉の朝鮮出兵で日本に伴われ、変転する運命に翻弄される朝鮮娘のキリスト教との出会いを描く『ユリアとよぶ女』、強固なキリスト教信者であった母の烈しい生き方を、幼い“私”の眼でとらえた『六日間の旅行』など、人間と信仰に対する深い洞察にみちた作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ken

8
遠藤周作が描く人間達は弱く醜くい。彼が描く人生もまた惨めで儚い。に関わらず彼らと彼らの人生を愛おしく思わせるのは、それを描く遠藤周作自身が弱く醜い人間を捨てようとしないからだ。本書に描かれるのは、愛欲に足下を掬われ、環境に虐げられ、信仰を貫き一人惨めに死んでいくような人間達だ。彼らの人生は決して美しく華やかなものではないが、それらは読者に人間の悲しさと愛しさと尊さを教えてくれるように思う。毛色はやや異なるが巻末に収められた原民喜の追憶文が良くて、繊細で気の小さい原民喜の悲哀と遠藤周作の悔恨とに胸を打たれた2017/09/14

6
私小説を主とした短編集。遠藤周作は精神的弱者を多く描いているが、それは著者自身もその一人だからである。ゆえに著者が弱者に向けるまなざしには自己哀惜的な慈愛が込められている。「影法師」「六日間の旅行」では弱者である著者と、強者である著者の母親と親交の厚かったスペイン人の司祭という対比が描かれる。他人の人生に痕跡を残すほど烈しかった母親に畏怖し、強者だった司祭が自分と同じ弱者側に転落した事実に著者は失望する。そして上記の経験が神への信仰と母に対する思いの一体化と、弱者を切り捨てる協会への批判につながっていく。2020/11/08

amanon

5
殆ど外れなしの味わい深い作品ばかりが収められた短編集。最早初老に差し掛かった者にとっては、作者をモデルにした中年男性を主人公にした作品がどうしても気にかかるか。とりわけ、著者の闘病生活の描写には、未だ大病を経験したことの無い者には、不安とも憧れとも言えない不思議な感慨を覚える。また朝鮮出兵を舞台にした「ユリア〜」は全くと言っていいほど、自分の感情を顕にしない、しかも、その奥に強い意志を秘めていると思わせるユリアの描写が印象的。後、最後の二作品は、戦後間も無くの文壇の様子が伺えて、非常に興味深く読めた。2022/09/16

スターライト

5
『沈黙』を読んで、もう少し遠藤のこの路線の作品を読みたいと思い、標題作が信仰のことをテーマにしているとのことで手に取ってみた。宣教師でありながら結婚したため教会を追われた「貴方」あての手紙形式をとる標題作は、主人公の母が宣教師を尊敬していたにもかかわらず同情的な思いを告白しており、信仰や愛について深く考えさせられる。同じようなテーマの「もし……」は、結婚した修道女にスポットをあてて「一人の人間が他人の人生を横切る」ことの意味を問う力作。「ユリアと呼ぶ女」も含めたこの3作は、ぜひ『沈黙』と合わせて読みたい。2017/07/08

hanaka

4
沈黙もそうだったけど、盛り上がるときがすごいんだよなあ。黒い波にぐわっと飲み込まれるような、くるぞ、くるぞ、うぉぉうっ!て感じで息を詰めて読んでしまう。信仰はイワシの頭程度しか持っていない私が、信仰を裏切ることについてなぜこうも引き込まれてしまうのか。人として生きる上で、信仰は薄くとも縋るものが幾ばくかはあるのか。2018/07/09

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