内容説明
このまま推移していったならば、やがて日本は経済破綻する。個人の経済破綻もさることながら、国家経済が破綻するということであります。(中略)私は私なりに考えておるのです。しかし、そうは申しましても、私はあすで満八十八歳になります。もう声もあまり出ませんし、足ももうひとつ達者でございません。(中略)しかし、こと国家の現状というものを考えてみますとき、この身はどうなってもこのままほうっておいたらいかん、なんとかしなければいかんという気分は、年にかかわらず、まだ私にも湧いてくるのです――昭和57年11月、松下幸之助はこう語った。一人の経営者が持した重税に対する憤りは、憂国の情とあいまって、やがて大きな活動になっていった。その活動にかける想いは、三年前に設立した松下政経塾に集う若者たちに託された。無税国家・収益分配国家という構想の提唱活動にいたるまでの、松下の活動の軌跡を年代順に整理したのが本書である。
目次
第1部 憂国―日本の繁栄のために(私憤から公憤へ;経営からの発想;高揚する国家への想い)
第2部 夢―「無税国家」「収益分配国家」への挑戦(人間観の提唱と国家観の熟成;果断、そして夢を託す)
二〇一〇年の日本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひま
2
斜め読みというか、飛ばし読みで。何年も前に書かれてる事なのに古くならない普遍的な事が多く書かれてる。目新しい事もないけど。日本の政治家はこの考え方を真剣に学んだ方がいい。2017/01/03
日和見菌
0
基本は無税国家について言及していますが、観光や道州制についてなど、幅広い提言があって面白かったです。最後の近未来小説は、本当にこうなってたらよかったのになと思う。2012/04/14
bittersweet symphony
0
財政支出の徹底的削減によって国家予算の剰余金を積み立てて、100年スパンで「無税国家」「収益分配国家」を目指す、というのが松下幸之助の考えていた国家観のようです。福沢諭吉が似た論旨を明治期に書いているらしいですが、松下のそれは当然の事ながら基本的に企業経営のノウハウを援用することを念頭においています(そしてその国家の先駆としてアメリカ産業株式会社を見ているようです)。松下政経塾では水平線のかなたのゴールを想定した上で臨床的に今現在どう活動すべきかをテーマとして持っているようですね。2010/05/17
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