講談社文庫<br> 均ちゃんの失踪

個数:1
紙書籍版価格
¥607
  • 電子書籍
  • Reader

講談社文庫
均ちゃんの失踪

  • 著者名:中島京子【著】
  • 価格 ¥607(本体¥552)
  • 講談社(2011/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062765862

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

ふらりと旅に出たまま帰らない内田均の家に泥棒が入り、この家に出入りしていた元妻の高校美術教師と重役秘書と雑誌編集者という年代の違う女たちが警察で鉢合わせ。均ちゃんへのそれぞれの思いを胸に、ひょんなことから三人そろって箱根の高級温泉旅館に行くことになり……。切なくも軽やかな恋愛小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

398
高野秀行が『辺境の旅はゾウに限る』の書評欄で絶賛していたので読んでみることに。本書の解説も彼が書いている。いずこへともなく失踪した均ちゃんが一向に現れないので、ベケットの『ゴドー』や朝井リョウの『桐島、部活…』のように主人公が不在のままに展開する物語かと思われたが、そうではなかった。小説としては、あるいは登場しない方がよかったかも知れない。薫、空穂、景子の奇妙な関係性が、独特の間合いで滑稽な空間を作り出している。景子の大阪弁のせいもあってか、織田作之助の『夫婦善哉』を想起させたりもする。2020/09/30

ゆいまある

94
単身生活を送っていた男の家に泥棒が入った。ところが住人である男が行方不明。それで男と繋がりのある女が集められたのだが、何故かそれが3人。そう、いなくなったのは寂しい女を見ると慰めずにいられない男、均ちゃん。奇妙な縁で知り合った女3人のその後をコミカルに書く。英語仏語が普通に入るナカキョー作品だが、今回は何故か延々関西弁を喋るキャラがおり、且つ男のダメっぷりが際立っており、間延びした町田康みたいな文体(真似てる気がしてならない)。空穂の既婚彼氏の狡さがリアルで人生経験豊富な大人の喜劇。軽く読める。2020/08/23

いたろう

77
本人行方不明のまま、その家に入った泥棒の捜査のため、警察に集められた、元妻、今の恋人、遊び相手というかパートタイムの愛人(?)の、年齢も職業もバラバラの3人の女性たち。そして、その時が初対面なのに、いがみ合うどころか、何故だか、その後、その3人+1で、箱根旅行に行くことになるという可笑しさ。行方不明の均ちゃんが不在のまま、小説は、3人それぞれの物語に進んでいく。均ちゃんは、一体どこに行ってしまったのか。その均ちゃんがようやく登場するのは、もう小説も終盤。女にだらしないのに憎めない、均ちゃんのキャラがいい。2021/04/02

ぶんこ

66
春先になると気力を無くす均ちゃんが行方不明の家へ泥棒が入り、警察の事情聴取で知り合った3人の女性。元妻の景子、不倫中の隙間恋人空穂、恋人同士だと思っていた薫。解説の高野さんが書かれているように、文章が綺麗なので修羅場にならずサラッと読めます。高野さんは均ちゃんをカッコイイと書かれてますが、男性にはカッコイイと見えるのでしょうか。景子さんの潔さ、再婚にやったね〜と拍手。空穂さんも不倫相手や均ちゃんを置いてパリへ旅立ち天晴れ。薫さんも均ちゃんの身勝手さ幼さに見切りをつけられました。読後感は爽快。2016/08/02

shizuka

60
均ちゃんはやっぱ「平均」の「均」なのかな。このふわふわした「均」ちゃんに振り回されているんだか、振り回しているんだか、4人の女性の物語。みんな似ているようで似ていない。一番一般的な感じは片桐さんかな。恋したらそういう感情に悩まされるのはごくごく普通だ。突然消えたと思ったら、実は他にも女がいることが分かってとかさ。混乱するわ。ただ他の女性が一風変わっているのでどろ沼にならず、逆に親睦を深めていくのがいい。こんな出会いは面白い。空穂さんがキャラとしては好み。最後、均ちゃん一人になっちゃった。味わい深い、実に。2017/05/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/534142
  • ご注意事項

最近チェックした商品