漱石の『猫』とニーチェ : 稀代の哲学者に震撼した近代日本の知性たち

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漱石の『猫』とニーチェ : 稀代の哲学者に震撼した近代日本の知性たち

  • 著者名:杉田弘子【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 白水社(2013/11発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560080443

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内容説明

ニーチェ思想が近代日本の知識人に与えた衝撃を鮮やかに描く労作。「近代」に直面した樗牛、漱石、新渡戸、安倍能成、朔太郎、芥川らの苦悩と自己救済の格闘の様が浮き彫りにされる。

目次

ニーチェと近代日本―まえがきに代えて
第1章 明治文壇を騒がせたニーチェイズムと高山樗牛
第2章 漱石の『猫』とニーチェ
第3章 『武士道』とニーチェの強者の哲学
第4章 大正教養派の理想主義的ニーチェ像
第5章 萩原朔太郎、ニーチェの熱狂的崇拝者
第6章 芥川龍之介、ニーチェと出会う

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shinano

14
読み応えのある一冊であった。進んでは少しもどりと確認しながらであった。なにせ、比喩的寓話的な表現であり体系的な哲学ではない難解なニーチェ思想である。近代日本の知識人たちが読んだニーチェ著作からの彼らなりの解釈と彼らの著作への落とし込みや、自己の内面整理(死であったり、苦悩への共感だったり、神経衰弱の克服)をどの様にニーチェ思想へ投影していったかが、杉田氏のニーチェ観が拡大鏡となって分析されている。ニーチェ解説書的な一冊でもあった。超人と永遠回帰の理解に前進できた様な気になっちゃいました・・・。2010/11/20

風に吹かれて

13
2010年刊。著者(1935年生)の長年のニーチェ研究のうち特に近代日本の知性がニーチェをどう受容したかに関わる論文をまとめたもの。高山樗牛のニーチェ称揚に猛反発する坪内逍遙、ニーチェ熟読後に『猫』(第七章以後)の精神性を高める漱石、漱石門下生の生田長江、和辻哲郎らのニーチェ翻訳や研究、ニーチェになれなかったニーチェ崇拝者萩原朔太郎、晩年の芥川龍之介に見るニーチェ受容など、ニーチェを座標軸に近代日本の知性の姿のひとつが浮かび上がる。また、門下生たちの知的活動の目覚ましさに漱石の大きさを改めて感じる。➡2019/09/25

hyuki

3
この本は、日本においてニーチェの輸入がどのようになされたかを知る上で、資料も膨大で優れている。しかしどのようにニーチェを解釈すべきか、という問題にまでは深く立ち入っていない(触れているがやはり必然的に問題はある)ので、ある程度自分のニーチェ解釈を持った上で読まないといけないし、またそうでないと面白くもないのでは?と思う。そもそもこの本はニーチェ解釈の是非というよりも日本輸入への過程を問題にしたもので、他とは違った視点で論じているから、ただニーチェ論として読もうとするなら、その態度は誤りだと言わざるをえない2010/12/30

ともすけ

2
高山樗牛と坪内逍遥のニーチェ論争は読みごたえがありました。しかしタイトルの「漱石の」というほど漱石には触れられていないです。図書館で借りたからいいようなものの買ってみてこの内容だったら正直…。芥川や萩原朔太郎についても書かれています。「朔太郎とニーチェ」でよかったんじゃないの?という内容でした。明治、大正の作家、詩人たちに影響を与えていたということを確認する意味ではよい本でした。2013/03/09

勝浩1958

2
「漱石の魅力」について語られている箇所を見てみよう。その一、学識に基づく見識。漱石の教養は古今東西に渉っているが、文学だけでなく哲学、心理学、社会学、歴史学にまで及んでいる。その二、暖かい人柄と高潔な人格。漱石は人間を愛したが、それ以上に正義を重んじた。その三、作品そのもの。その作品全てに自己超脱を目指す求道精神が認められる。私も漱石が一番好きだ。2010/05/04

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