岩波文庫<br> かもめ

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岩波文庫
かもめ

  • ISBN:9784003262214

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内容説明

作家志望のトレープレフと女優を志すニーナ.美しい湖を背景にさまざまな恋が織りなす人生模様.やがて恋人たちの道はすれ違い,新進作家となったトレープレフの前に現れたニーナは謎めいた言葉を洩らす──「私はかもめ」.それぞれが心に秘める「かもめ」は飛翔できるのか?演劇史に燦然と輝く名作を清新な訳で.(新訳)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

120
何度も読んでいるチェーホフの戯曲。チェーホフはやはり良い。いつ読んでも胸に迫って来るものがある。『かもめ』の中では複雑な男女関係が描かれている。三角関係だったり、かなわぬ恋だったり。特にトレープレフとニーナの恋は哀しい。ニーナがトレープレフの愛に気付いた時に、取り返しのつかないことが起こってしまう。それでも彼女は「十字架を背負って歩み」(本文より)続けるのだろう。重たい現実の中から、かすかな希望が立ち上ってくるのがチェーホフの特長で、読むたびに励まされる。2017/03/05

佐々陽太朗(K.Tsubota)

45
北村薫氏の『六の宮の姫君』にチェーホフは《割れた壜》でいとも簡単に月夜を作ってしまうというくだりが書かれている。P136”堤防の上に割れたボトルの口がきらりと光り、水車の影が黒ずんでいた”とある。確かにすごい。しかし「月夜」という事象は誰にも明らかで、あれこれくどくど書かずとも画として読者の心に情景がうかぶだろうが、人間の行動や心の有り様というものはそれこそ人それぞれでつかみようが無い。そこを多く語らず、説明しない謎のままの戯曲にされても読者や観客は解釈に迷う。私には分からない。まことに困ったことです。2012/03/19

みつ

44
何度読んだかわからない戯曲。湖のほとりに集う、劇作家志望の青年トレープレフ、その母の女優アルカージナ、小説家トリゴーリン、女優を目指すニーナなど芸術家を中心としながらも、他の登場人物も含めそれぞれに光があたり、脇役のような人物の台詞も、それを話すときには主人公のような切実さをもって訴えてくる(特に管理人の娘マーシャ)。小説家の「ちょっとした短編の題材」、その言葉を交わしたニーナの2年後も繰り返すことによる感情の高まり、小説家の「おぼえてないなあ!」から遠くで聞こえる破滅の音まで、今回も新鮮な気持ちで読了。2024/03/30

巨峰

32
撃ち落とされ剥製にされてしまったものはなんだったのでしょうか。ただ、この戯曲、演劇人、文学者に共感を持って愛され続けてきたのだなというのはわかった2012/11/23

絹恵

30
一方通行の外へ向かう思いと、芸術という内へ潜る思いが交わった時、孤独を自由と知り、それでもなお解放を求めるのが人間でした。自己完結では芸術に到達出来ず、作家なら善悪全てを伝えなければならないのだというチェーホフの意識を強く感じました。そしてこれは喜劇という皮肉なのではないかと思いました。面白く読めて良かったです。2014/05/09

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