内容説明
永住の地を求めて旅立ったヘリックスの民は、400年後にアウスターからの救難信号を受け取ったが……現代SFの頂点を極める〈ハイペリオン〉シリーズの後日譚を描いてローカス賞を受賞した表題作をはじめ、古典的人類の最後の日々を描く〈イリアム〉シリーズ前日譚「アヴの月、九日」、傑作異次元SF「ケリー・ダールを探して」など、本邦初訳を含む5篇を収録し、当代随一のオールジャンル作家の魅力を凝縮した傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
8
世紀の替わり目前後の、ダン・シモンズのSF中短編集です。守備範囲の広いシモンズらしい、多彩な小品が並んでいますね。作者自身による序文とそれぞれの作品につけた前書きに注目。「誰もがわたしに 『自伝を書いたらどうだ』 というが、わたしは 『自伝なら細切れにして、自分の作品の序文に書きつづけているさ』 と答えている」と言い切ったシモンズのこと、この序文と前書きだけでも十分に面白いですよ。ダン・シモンズという作家の守備範囲の広さを思い知った本でした。忘れかけているハイペリオン・シリーズ、読み直そうかな。2010/01/26
たこのまくら
6
<ハイペリオン>シリーズ再読の流れで表題作だけ読む、つもりだったのが、「カナカレデス~」も好きな話なのでつい読んでしまう。…しかし、シュライクってやっぱり<ハイペリオン>シリーズの象徴的存在だよなあ。2018/01/14
たこのまくら
6
中編集。表題にある「ヘリックスの孤児」は既読なので、目的は「アヴの月、九日」。読むことによって明らかになる謎もあればまた増える謎もあり。とにかく『オリュンポス』を読まなければ始まらないのか。それら以外の他の中編もなかなか。「カナカレデスとK2に登る」なんて、発想が面白いし「第五惑星」的な友情も好き。しかし何と言ってもそれぞれの中編を紹介する著者自身のエッセイが、作品というよりも著者自身の人となりを表していて興味深い。2012/12/11
unknown
6
傑作大長編SF『ハイペリオン』、超壮大なSF神話譚『イリアム』にそれぞれ関連した中編が収録されているんだけれども、この作品集の真の目玉は、各作品の前についているシモンズ先生によるエッセイ的な前書きかもしれない。短いながらも滅法面白い。スター・トレック関係者からシリーズのシナリオを書いてみないかと打診を受けた際のエピソードなど、あれやこれやのウラ話をウィットとユーモアに富んだ語り口で語ってくれる。2012/07/28
Ryunosuke Moriai
5
ハイペリオンシリーズの短編に惹かれて読むも、内容をすっかり忘れていて…読みながら大筋は思い出しましたが、少し消化不良。いつか読み返すシリーズ入りです。2024/02/01