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内容説明
悪人への共感、赤裸々な恋愛、ファッション、祭礼の賑わい――。『梁塵秘抄』に歌われた世界の多様なひろがりを探り、中世の人々を魅了した歌謡の面白さ、楽しさを通して当時の世相を鮮やかに描き出す。
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※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
13
院政期頃から流行し、後白河上皇登極前から熱中した今様。上皇がそれ迄の歌謡を集成して編んだ勅撰集が梁塵秘抄である。歌謡集10巻と口伝10巻からなり、長く埋もれていた物が、明治末年になってその各一巻と断簡が発見された。よって今日その全体を知ることは出来ない。同じく詠唱される事が古くは基本だった和歌が、定型詩故に長く命脈を保ったのに対し、自由なメロディの歌謡として各層に愛好された今様の魅力は復元が困難である。しかし今様は二百年余の流行を保った。限られた資料に基づき当時の世を魅了したその文芸と社会を紹介する良書。2023/04/05
鮎
10
愛読書の一つ、荻原規子「風神秘抄」のためにいつか読もうと思っていた。原典に触れて驚いたのは、「風神」のファンタジー要素が根のないものでは決してなかったということ。本書のⅡ第2章「信仰の世界」で語られるのは、今様を愛した人々がそれにどれだけの祈りを込めていたかということ。生きるための殺生を罪と捉え、地獄行きを念頭に置いた上での、地蔵菩薩への信仰と提婆達多への親和。道を究めることは悟りへと通ずると信じた彼らと、そこに舞い降りたいくつかの奇跡。それをファンタジーと呼ぶのはとてつもなく失礼なのだろうけれど。2017/08/21
カットマン
4
今頃になって古典の重要性、面白さに気づいてしまい、このような所へ。もう亡くなった桃山晴衣という人の梁塵秘抄のCDを聞いたりしているのです。梁塵秘抄がJポップの源流だなどとう言われ方もしたりするけれど、本書を読むと半分は仏教の信仰に関する内容だそう。◆今年の目標としては本書、P35にあった今様の楽譜、邦楽の記譜法を何とか読みこなせるようになりたいのです。図書館で浪曲の入門をめくってみたら、このような譜面が書いてあった。また文献をあさってみよう。2018/02/04