- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
現代から約一万二千年前、大西洋上にアトランティスという繁栄する島があった。だが次第に堕落し、神罰によって一昼夜にして海中に没してしまった――。プラトンが「全面的に真実の話」として書き遺した、アトランティス伝説である。地質学者やアマチュア研究者、はては霊能力者にいたるまで、数多の男たちがこの伝説の虜となり、様々な説を発表してきた。「アトランティスは実在した。いま大西洋に沈んでいる」「いや、クレタ島のことだ」「アイルランドだ」「南極だ」……。だが、どの説も決定的な証拠に欠け、いまだ定説はない。しかし、ヨーロッパ人が持つ先入観とは無縁であり、さらにプラトンの真意を見抜く歴史学者の眼を持つ著者が本書で展開する論説は、まさに「コロンブスの卵」と唸るに足る説得力を持つ。西洋古代史最大の謎を解き明かす、新鋭歴史家のデビュー傑作。 読者は、ページをめくるのがやめられなくなるはずだ。
目次
第1章 アトランティス伝説とは何か
第2章 アトランティスは文明の起源か?―大西洋実在説
第3章 アトランティスとミノア文明
第4章 探索は続く
第5章 アトランティス伝説はなぜ語られたのか
第6章 伝説の真実
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
一万二千年前、海に沈んだ大陸アトランティス。本書はその伝説の発生から、場所を突き止めようとする各論、そしてプラトンの真意までを解説した一冊となっている。アトランティスに関する基本知識はこれ一冊読んでおけばおさえられるんじゃないかな。自分もおおよその位置は知っていたけど、社会形態や首都の様子までこれほど詳しく書かれていたとは知らなかったし。面白かったのは何と言ってもアトランティスを探求した先人たちの各論。大西洋から氷期、果ては超古代文明まで面白いものばかり。とはいえ浪漫は浪漫、著者の結論が一番納得いくなあ。2022/10/22
へくとぱすかる
37
著者の本は2冊目。アトランティスの「伝説」はなぜ書かれたのかに注目。いわばプラトンの言いたかったことは何だったのかを主に後半に追求していく。こうなると「沈んだ大陸」が本当にあったのかどうかは、背景に後退してしまう。もちろん今では本当にあったと考える人は少数派だろう。科学的考察が進んだこともあるが、史料批判が進んだこともある。プラトンにとってもアトランティスは、アテナイを持ち上げるための当て馬にすぎなかったのだから。さて読んでいる途中で一番びっくりしたのは、「プラトン」って本名じゃないってこと。意外でした。2024/08/09
中島直人
15
(図書館)アトランティスという神話について、単純に荒唐無稽と退けるのではなく、その時代背景から、プラトンの意図を推察し、あくまで学問的に解釈しようとしている。アトランティスを巡る過去の学説や歴史的な考察も一通り触れられていて、読んでいて刺激が得られるし、面白い。2018/10/08
白義
12
プラトンの対話篇に滅亡した超古代国家として現れて以来、多くの人々を魅了してきたアトランティス神話。その実在、非実在をめぐる議論を現在の研究から整理とジャッジしながら、そもそもプラトンはアトランティスの逸話から何を語りたかったのかという、ほぼ全ての超古代史研究家が無視してきた根本に立ち返る、堅実な歴史学とプラトン哲学入門、その両方を果たすことが出来る超良書。ネタバレというまでもなくアトランティス実在説に対しては辛辣で、氷河期の終わりに沈んだ説や南極説、アイルランド説やトロイア説などマイナーな説まで地道に論破2017/07/24
ジョン
11
ムー民(ムー読者のこと)にとってなじみ深い歴史ミステリー、アトランティスについての本。プラトンが著作で「真実」と著したことから端を発したアトランティスの物語。その後どういった経緯をたどり、現在われわれが知るロマンが生まれていったのかをわかりやすく解説。やはり日本人が書いているからか、アニメや映画などといった分かりやすい例を出してくれるのが嬉しい。読みやすくて 面白かった。アトランティス、あるといいなー。2017/11/27