内容説明
第10回日本SF新人賞受賞作品。「馬を買いに来た。サラブレッドだ」北海道の新冠で小さな牧場を営む笹田伸人の許を、北海道を統括するロシア弁務官アレクセイ・イリッチが訪れた。小規模な牧場には珍しく、大活躍が期待される一歳馬だ。笹田は弁務官の高圧的な態度に拒絶反応を示すが、権力には勝てず、馬は買い取られていった。二十二世紀初頭、ロシアはその強大な軍事力により、経済力のみの日本に勝利し、支配下に置いていた。世界の競馬産業は衰退していたが、日本ではロシア侵攻中も馬産が続けられ、競馬人気は盛ん。しかし、「腹脳」という人口頭脳の業界団体である「腹推会」が、人間のサイボーグ化への足がかりとして、サラブレッドのサイボーグ化を競馬界に働きかけ、これが承認されてしまった。生身の馬体で行われる最後のダービーに向けて、男たちは、それぞれの戦いを始める。ポグロム―ロシア語で、虐殺、破壊―と名付けられたイリッチ弁務官の馬は、いかなる活躍を示すか!?※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
R
20
近未来を舞台に、生身の競馬が終わるという状況を描いたSF小説でした。競馬に詳しくないので、真の面白さに到達できなかったと思ってしまうところで、現在とは違う軸で描いた物語ながら、地続きの競馬というジャンルの薀蓄が面白い作品でした。馬主、馬産、買い手、売り手、賭け手といったジャンルで、馬が走るというロマンについて語っていたように思います。大きな批判や、皮肉があることもなく、競馬というひとつのジャンルについて、描いていた作品だと思われました。2016/11/21
MarsAttacks!
6
第10階日本SF新人賞受賞作。22世紀ロシアに占領された日本、サラブレットのサイボーグ化が承認され、生身の馬で行われる最後のダービーに向かうホースマンの物語。細かい設定は良いと思いますが、その設定が目立ち馬・人の物語が今一つ、まぁSFと謳っているので仕方ないか、そしてなんか読みづらい物語でした。それと馬名のセンス無いですね。2015/11/29
だくだく
5
近未来のディテールが秀逸で面白いのだけど、読むのがつらい。毎週馬券を買って楽しんでいるおいらが言うのもなんだけど、競馬はとてつもなく残酷でエゴイスティックな娯楽であることをあらためて突きつけられた気がした。腹脳、やだなー。2013/01/22
ベルガモット
5
サラブレットのサイボーグ化から、いずれ人間も、という22世紀。腹脳ジャンキーの存在が不気味だった。せっかくサイボーグ化前「最後の」ダービーなのだから、応援したくなるような魅力的な馬が出てきて欲しかった。2010/06/13
ナルシスト
3
ロシアの植民地になった日本の競馬の終わりを告げる近未来小説。面白いけど不愉快極まりない。読んでいてむかむかするけど、競馬ファンなら読まずにいられないリーダビリティがある。競馬というブラッドスポーツの残酷さを露骨に表現しながら、その何ともいえない魅力も伝えていて興味深い。サイボーク化される前にダービー馬のオーナーになりたいというロシアの指導者候補やあまりにも競馬にのめり込む男たちには感情移入はできないけどひたすらゴールを目指すポグラム(虐殺)と名付けられたサラブレッドの描写には戦慄さと興奮を覚えた。2012/06/16
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