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内容説明
古今東西を問わず、演劇や文学、映画、アニメ、漫画に数限りなく登場してきた「女装する男」と「男装する女」。彼/彼女たちは、なぜ性の境界を超えようとしたのか?“変態”“異常”“倒錯”という言葉で片付けてしまうだけでは気がつかない、性と愛の現実がそこにある。「男と女」という単純な二項対立がsexとgenderの視点をからめると無限の性別へと変化していくさまをつぶさに論じ、人間の生の多様性に軽やかに迫る。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
19
古今東西の文学作品・演劇・映画・漫画などの中で描かれる異性装を通して、女性であること、男性であること、そもそも性別とは何なのか、ということを考える。紹介されている作品も幅広く魅力的で、「楽しみながらジェンダーについて考えて欲しい」という目標を達成していると思う。ただ、タイトルに「ジェンダー」を入れなかったのは、日本のメディアにおいて否定的な印象で用いられていることがあり、ジェンダー論にまつわる偏見を払拭したかったからだという。そのあたりも成功している本になっているち感じた。2021/06/17
なお
18
図書館本。古事記のヤマトタケルノミコトからベルサイユのバラのオスカル迄の背景が面白かった。2017/07/10
はなはな
9
演劇、文学、マンガ、アニメという創作物を題材にして、男装・女装という視点から、生物学的な性と社会的な性を考察。創作物を楽しむ自分の裏を考える機会を得た感じ。少し前の本なので出版時までと限定付きですが、女装男装が登場する作品ガイドとしても良かった。2014/10/22
ななみ
5
世界中の物語に登場する異性装の背景を紐解いた本。ありふれた男女の話でも非常に複雑かつ奥深いのに、男装女性や女装男性、そしてその周囲の異性愛者、同性愛者…と絡んでくるともうとてつもなく難しく興味深い。その反面、どう考えてもこれはこじつけだろう、という解釈もあったりして、全編通じて納得できるかというとそうでもない。心を許した友が実は女装した元夫だったと知った元妻の怒りを「ジェンダーが男か女かで態度を変える不思議」と切って捨てる感覚にはもう驚くほかない。面白いけどモヤモヤする一冊。2013/04/02
乱読家 護る会支持!
4
男性の女装の特徴は、「弱者」を装うこと、犯罪や殺人、色じかけの意図、笑いや男性同性愛(男色)の要素が含まれること。 女性の男装は、「強さ」を期待される武装との一体化、自己実現、社会的活躍、恋愛感情の表現(異性との)、笑いや女性同性愛の要素はあまり顕著ではない。女装の表象に女性への恋慕の要素が希薄なのは、女性の存在が全般的に重視されていない価値観が存在する。 さらに、同性愛を宗教的に禁ずる一神教の価値観と、両生具有を聖なるものとするアジアの価値観の対比も面白い。。。2019/02/04