内容説明
「情報のパラドックス」という問題をめぐって、理論物理学者のレオナルド・サスキンドはスティーヴン・ホーキングと20年以上にわたって論争を続けた。本書はその理論的対決の物語。サスキンドは理論的な対決の物語を遊び心たっぷりの読み物に仕上げた。サスキンドは「エネルギーとは何か」「物理学でいう情報とは何か」「情報の保存とは何か」「エントロピーとは何か」といったもっとも基本的なことからていねいに説明しているので、本書を読むのに特別な知識はまったく必要ない。本書の隠れた主題は、物理の面白さを伝えることにある。本書は物理学への賛歌であり、物理の考え方の本当の面白さを心ゆくまで堪能できる一冊。
目次
第1部 たれこめる暗雲(最初の一撃;暗黒星;古い時代の幾何学ではなく;「アインシュタイン、神に何をすべきか命じてはならない」;プランク、より良い尺度を思いつく;ブロードウェイのバーにて;エネルギーとエントロピー;ホイラーの教え子たち―ブラックホールの中にどれだけの情報を詰め込めるか;黒い光)
第2部 奇襲攻撃(スティーヴンはビットを見失い、見つけられなくなった;オランダ人の抵抗;それが何の役に立つ?;手詰まり;アスペンでの小競り合い)
第3部 反撃(サンタバーバラの戦い;待て!配線を逆にしろ;ケンブリッジのエイハブ;ホログラムとしての世界)
第4部 戦争の終わり(大量推論兵器;アリスの飛行機、または目に見える最後のプロペラ;ブラックホールを数える;南アメリカの勝利;核物理学ですって?ご冗談でしょう!;謙虚さ)