内容説明
和より競争、平等より格差、長期的視点より目先の利益、情より公正さ、規制より自由、従業員より株主……
それらのアメリカ的価値観は、はたして日本人に適したものなのだろうか?
大多数の日本人を幸福にする社会にふさわしいのだろうか?
グローバリゼーションのなか、改革という勇ましい掛け声によって、日本社会の根本がアメリカ文化で脅かされている。
その歪みが現在の金融危機によって露呈した今、精神的アメリカ離れの声も聞かれるものの、アメリカ追従の基本的な流れは変わらない。
しかし、アメリカ人とアメリカ社会にとって良い仕組みが、必ずしも日本人と日本社会にとっても良いとは限らない。
元通産官僚でもあった著者が、アメリカ人と日本人の価値観の違いを定性的定量的に示しつつ、21世紀の世界の幸福にも寄与する日本的価値観の再評価と、それに基づく社会の仕組みの再構築、そのための政策を大胆に提案する。
はたして、あなたはどう思うか? 反対意見も含めて、建設的かつ本質的な議論が本書から始まることを期待したい。
目次
第1章 動揺する日本社会
第2章 アメリカ社会の表と裏
第3章 日米社会の基本構造の違い
第4章 新しい日本主義のすすめ
第5章 二十一世紀の日本社会の繁栄のために何ができるか
第6章 二十一世紀型日本主義、展開への提案
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブルーローズ
2
日本経済の元気がないことの実例を述べ、むやみに米国に追随することへの警鐘を鳴らす。日本と米国の国民風土を幾つかのトピックで分析し、うまくいかないことを提示する。2010/01/24
セイヤマン
0
75点。規制強化奨励、年功序列賞賛、民より官へ、など最近の世論に真っ向から反論する本作。しかし著者もその流れを把握した上で、豊富なデータやグラフを用いて日本人とアメリカ人は根本的に違うから表面だけ真似をするな、むしろ原点回帰せよと論理的に説く。さらに本作では日本がとるべき策だとして日本主義なる自論もしっかりと展開してて一読の価値はある。しかし、エリートには個人主義を適用し、国力を伸ばす とさらっと書いており、それが具体的にどうやるかまで明記して欲しかった。2013/03/06
ryo511
0
「日本人は、口では集団主義的なことをいうが、実際の行動は個人主義的である(アメリカ人は逆)」という知見がある。山岸俊男教授の心理学実験によって示されたものだ。本書には、それと対立する「データ」が示されているということで読んでみた。が、出てきたデータは日米の価値観の調査。つまり「口で何と言ってるか」であって、「実際にどう行動するか」ではない。表面的なデータは示されているが、そのデータの妥当性は検討されていない。C2011/11/02
み~ちゃん
0
日本固有の価値観を提唱する視点が新鮮。震災前に書かれたものだが今でも十分通用する。日本はやみくもにアメリカ式を導入するのがなぜうまくいかないかという点を日本人の固有の価値観を分析しながら説明していく点に説得力がある。今後の日本社会を考える上で参考としたい本。2011/06/27