内容説明
どのような書物を選び、それらから何を感じ何を読み取るか。そこに個性があり、その人らしさがある。著者は独自の感性で切り取った本の世界とたわむれ遊ぶ。そこでの連想は、読む者をさらなる連想へと誘う。時系列に並んだ連想群は、わが国の精神医学・医療の歴史を俯瞰し、未来へ向けての著者の祈りを伝える。
目次
1 ロンドン体験(一九七一~七三)
2 心を閉ざすことへの注目(一九七四~七八)
3 スタイルの完成(一九七九~八四)
4 老いへ向けて(一九八五~八八)
5 実務と指導の日々(一九八八~九五)
6 還暦(一九九六~二〇〇一)
7 蝶のように(二〇〇二~〇五)
8 古稀(二〇〇六~)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
45
【コトバで切り取られる瞬間に、何か決定的な変質または脱落が起こる】どのような書物を選び、それらから何を読み取るか。精神科医である著者が、日本の精神医学・医療の歴史を俯瞰し、独自の感性で本の世界を切り取った書評とエッセイを時系列に収録。著者は、<学問の世界では、コトバで表現され伝えられる内容を明確にしなくてはなりませんから、輪郭のくっきりした曖昧さの少ないコトバを使うのが普通/デジタル化の強いコトバが好んで使われる/コトバで切り取られる前の先人の経験や知恵は、全体が切れ目なく連続したアナログの世界>だと。⇒2024/01/18
日曜読書人
4
短い書評の各々に、著者独自の感性が一杯詰まってます。2018/07/30
ハイサイ
3
長年にわたる著者の書評集。年代によって書評を書く時の気持ちが変わってくることを素直に書いているところがおもしろい。書評を書いた時の追想に、著者の優しいまなざしがでる。読んでみたくなる本が何冊もあった。2009/12/13
すーさん
2
神田橋さんの書く書評からは全般にあふれんばかりの活動的なエネルギーが感じられ、人柄がしのばれるものが多い。現在も雑誌で書評をしておられるので、以後のものも集めてほしいところ。2016/03/30