内容説明
目を奪う美貌と、小学生とは思えぬ色香(いろか)。転校生の目童(まどう)たかりは、謎めいた美少女だった。学校を休んだ彼女に届け物をしに、少年が訪れた家の奥――そこには、あまりにも禍々(まがまが)しい何かが横たわっていた……。(表題作)合わせ鏡が作り出す無限に続く映像世界。その魔力に取り憑かれた男を襲う怪異とは?(「合わせ鏡の地獄」) 書下ろし掌編(しょうへん)を含む、悪夢のような傑作12編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
164
その眼は赤でなくて赫なのだ…好奇心から触れた凶禍に「入れたらあかん!」と必死に守る祖母の愛…万が一の策は「誰かに喋るんや」ああ…もう聞かされた…12編に溢れる擬音の嵐…ずっずっずっ…ぬちゃっ…ごうぅぅぅ…ぺたぺた…ジィィィッ…ひょい、ひょい…キュルキュル…得体の知れぬ存在は“くねくねした女の人”とか“白くてぶよぶよしたもの”なんて気味が悪い…そして「来たで」「ねぇ」「いち、にい、さん…」短い台詞が恐怖を煽る…来る!ああ、来ます!最終篇で冒頭の表題作を拾うのが絶妙!「うん、入れたんだ」「ここよ…」こ、怖い…2020/08/27
nuit@積読消化中
162
どれもこれもかなりのレベルでゾゾ〜っと怖くて面白い!表題作の「赫眼」や「怪奇写真作家」は完成度も高く、登場人物がかなり印象的。「よなかのでんわ」「後ろ小路の町屋」「死を以って貴しと為す」など一瞬有りがちかと思われる都市伝説や怪談のネタも、三津田さんの手にかかると一味違った怖さに仕上がっている。2017/07/23
KAZOO
127
7つの短編と4つのショートショートが収められています。私は三津田さんのホラー的な話は長編よりもかなり怖い気がしています。時たま三津田さんの本当の経験のような気もして実際にあるような印象を受けます。とくに表題作と江戸川乱歩の「鏡地獄」へのオマージュ的な作品の「合わせ鏡の地獄」が印象に残りました。あと手元に短篇集が2作あるので楽しみにしています。2019/05/03
青葉麒麟
105
夜勤中に読むもんじゃないとつくづく実感。背筋がざわざわする怖さが盛り沢山。表題作と最後の作品が繋がっていてビビった。三面鏡や合わせ鏡ってじっくり見ていると、本当に中から何かが出て来そう(。´Д⊂)2013/08/18
藤月はな(灯れ松明の火)
84
「日本の夏はやっぱり、怪談 和編」の参加のため、再読。ホラー映画慣れをしてしまった為か、初読の時より、怖さが薄れてしまったのが残念ですが、冷静に読められたのも新鮮。「怪奇写真作家」の正体はやはりだが、家から出られない彼女の様子や足を止めるように降ってくる写真はやはり、不気味だ。会話文だけで進む「よなかのでんわ」で最後の会話文の表現方法が変わる手法が意味するのもインパクトがあり、一層の恐怖を募らせる。「合わせ鏡の地獄」は思わず、気絶しそうになった『Missing』の合わせ鏡編を思い出してしまって血の気が引く2020/08/11