内容説明
昭和初期の東京・上根岸。日本舞踊の名門梶川流の師匠を母とする異父姉妹。家元の血を享け、踊りに天賦の才を見せる妹の千春の陰で、姉の秋子は身を慎んで生きてきた。しかし戦後の混乱期、梶川流の存亡を賭け、秋子が進駐軍の前で挑んだ驚くべき舞台が彼女の人生を予想もつかぬ方向へ導いていく――。伝統と因襲の世界で生きる女たちの苦悩と希望を描く、波瀾万丈の人間ドラマ。傑作大河長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小梅
85
有吉佐和子の描く女の内面の奥の奥の描写が素晴らしい。日本舞踊の名門「梶川流」の家元が父親の義父妹の千春の陰のような存在の姉秋子。素晴らしい舞台を観終わったような読後感。続けて続編の「乱舞」を読みます。2017/08/27
ソーダポップ
33
連舞(つれまい)、日本舞踏の世界を舞台にした長編二部作の一部作目。女三人、三つ巴の愛憎ドラマ。日本舞踏の家に生まれた秋子の苦労を描いたこの話も、素直に感動して読めない甚だ微妙な物語である。身勝手な母・寿々、男としてどうなのか疑問を持ってしまう猿寿郎、さらには、主人公・秋子の言動に共感出来ず、嫌な気分になってしまうのも事実。だからこそ人間ドラマとして、リアリティある深い話になっているとも思う。登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し動きだす、50年以前の小説ですが古さを感じさせない素晴らしい著書でした。2023/04/02
Shoji
30
日本舞踊の家元のお話だ。格式高く上品で華やかな世界を想像する。実態は、世の常ではない特殊な環境のようだ。まず、お家元当主を頂点とした序列が存在する。そして、子だ。子は何よりも血統、つまり血の繋がりが舞踊の稚拙よりも大切なようだ。長女の秋子は嫡出外、次女の春子は由緒正しい血統。舞台はもちろん、生活すべてが秋子より春子の方が上位だ。意地や妬みやっかみが渦巻く中で、秋子と春子の物語が紡がれていきます。有吉佐和子さんらしい人間模様が書かれています。凄く引き込まれました。2025/08/15
Yu。
27
それでも母親からの愛情が欲しかった… 舞踊界で生まれ育ち、家元の血筋に翻弄される哀しき主人公の幼少時代から約20年もの孤独や葛藤、そして変貌ぶりを戦前から戦後という時勢に被せて追っていくヒューマンドラマ。これはとてもいいですね!!我々の知る華やかな表舞台とは程遠いお家の裏側を見せつけられながらも次第にそのダークでドライな人間模様に魅了されていく。さあどうなる“梶川流”、今後の彼女らの一挙手一投足から目が離せない。2015/08/28
蛇の婿
24
いや面白い話でした!主人公の置かれた立場がなかなか辛く、序盤は少しとっつきにくさがありましたが、太平洋戦争が始まったあたりから徐々に引き込まれ、終戦からラストまでは一気でした。…更にまあその、日本舞踊のお師匠さんの娘という設定自体も、個人的な私の人生の古傷にかかわるものがちょっとあったりもしなくもなくて感情移入がもう凄まじくゲフンゲフン!!……初有吉佐和子です。これはいい本でした!2014/11/06
-
- 電子書籍
- 改訂版 教師のためのExcelVBA活…
-
- 電子書籍
- 新訳 モンテ・クリスト伯 2 平凡社ラ…
-
- 電子書籍
- 異世界で精霊師はじめます。 1 FLO…
-
- 電子書籍
- 女の犯罪履歴書Vol.23~詐欺師の肖…