内容説明
血判で契りを交わし、武道館で決起集会を行い、全国紙に意見広告を出した。いつでも口角泡を飛ばし、胸ぐらをつかみ合い、灰皿や瓶を投げつけ、野蛮な極右とメディアに酷評された。一九七〇年代半ば、戦後政治史上未曾有の熱さと厚かましさで一躍脚光を浴びた政治集団「青嵐会」。今、政治に求められている“何か”が彼らにはあった。太く、短く、謎多きその軌跡をあらためて現在に問う異色ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
264
今の冷めた雰囲気のする政治家に比べてこういう熱い政治家が新鮮に感じた。青嵐会のメンバーが今も現役バリバリだったら世の中がまた変わってるだろうなぁ。2016/06/08
スズツキ
5
非常に重要な要素なのに日本の近現代史からすっぽりと抜け落ちてしまった部分で、参考書にも年表にも載っておらず、こういうことは地道に学術書を繙いていくしかない。そんなときにコンパクトな本書のようなものは助かる。新潮新書では珍しい硬派な1冊。2016/11/26
こずえ
3
面白かった。…というか、戦後史関連の読物、特に政治モノはどこをひもといても今の政治への理解が深まるよね。全体的に人気も高いです。特に当書は現内閣の父だの祖父だのばかり登場いたしますので、面白く読めると思います。それにしても本当にいろんなことを後回しにして、金儲けに走っちゃったのよね…。我が国って。2013/01/01
inokori
3
先の総選挙において,方や外相在任中の出張中の不行跡が問題となり閣僚辞職,あげく落選となった中川昭一と,こなた自民党を離党し「みんなの党」を旗揚げ衆議院内での中間項となった渡辺喜美の父たちのノンフィクション.著者が中川一郎の亡骸の前で誓ったとされる「(あなたの)うらみを晴らす」内容にはまだ遠いような気がする.もし次に書かれる「中川一郎伝」があれば,本書はその序章と言えるかも.1970年代の政治状況をもっと読ませてくれるものがこれから出てくれば,との感を強くする.2009/09/23
みじんこ
2
血盟から始まった自民党・青嵐会。党是である憲法改正を正面から訴え、反中共の立場であった彼らこそ真の保守である。五章で詳しく書かれているが、「やむなくとった政策」だった吉田ドクトリンが、そのまま自民党の本流となってしまった。二章で三島の話が引用されていたが、安保と独立という矛盾を呑み込んで今に至っている。そのしわ寄せが本書でも書かれている集団的自衛権の解釈等の話につながる。中川一郎夫人が今の政治家を「迫力というか、熱さ」がないと言っていた。本書からは権力闘争や人間関係など、泥臭い政治を感じることができる。2016/02/23