文春文庫<br> 水底の光

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文春文庫
水底の光

  • 著者名:小池真理子
  • 価格 ¥540(本体¥491)
  • 文藝春秋(2012/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167542061
  • NDC分類:913.6

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内容説明

不倫の相手と別れ、心の痛手を抱える奈々子に、蛍を見に来ないかと京都の義姉から誘いが届く。そこである秘密を告白され…(「闇に瞬く」)。成功した写真家の夫との間に娘のある絵美子。6歳年下の画家の浩之と、ともに家庭のある者同士が溺れる、刹那の恋(表題作)。そのほか、不条理な恋の闇の中で、一筋の光を見出しながら歩む女性たちと、断ちきれない男女の関係を、「光」の風景を織り交ぜて描く。大人でなければできない恋愛の小品集、全6篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

76
かねてより恋愛小説の醍醐味は「叶わない・障害のある」恋にある、と明言している私の大好物である不倫テーマ小説。現代だと、身分差だとか年齢差だとかはあまり障害にならなくて、どうしても悲恋と言うと不倫になってしまうので。読んでいる間中、胸がときめきっぱなしの短編集でした。恋している相手の体温やしっとりとした肌の感触までも伝わってきそうな・・・。個人的には表題作と恋愛相手が死に至ってしまう『冬の観覧車』がお気に入り。「心はこんなに通い合っている。少し先に逝くだけのこと」にはもらい泣きさせられました。2015/03/27

かんらんしゃ🎡

48
★義理と人情を秤にかけりゃ義理が重たい男の世界~っと。恋にあっても男は義理を通す。この時、義理は世間体と言い換えてもいい。女は情に生きる。世に別れの惨劇はここに起因する。★作中の女性たちも濃密な恋に溺れ、悲劇に酔いしれる。女性読者におもねた設定にちょっと辟易してしまった。これも恋愛観の違いなんだろうな。2018/08/02

いしかわ

47
どっぷりとした愛の物語は苦手だったけれど、この小説では何故か すんなりと世界に入る事が出来た。共感をしたり、実際に同じ経験があったりと自分と重ねたときに、2〜3年前では考えられない程に私も大人に、そして「女」になったのだなぁとしみじみ思う。艶っぽい話が多かったけれど、なにも見えなくなって聞こえなくなって、真っ直ぐ欲望に向かっていく 女性たちは 輝いて見える。2014/05/13

じいじ

35
 6短編どれも不倫の話。「水底の光」は、W不倫。互いに冷めた家庭情況での逢瀬は自堕落、双方離婚が先では・・と思う。こんな自虐的な気分下での情交には共感できない。また、コウモリを「カワイイ、飼いたい」と言う女は好きになれない。しかし、傍観する立場では小池さんの文章力の上手さで愉しめた。「冬の観覧車」が好きだ。不倫でも共感できる。男の誠実さ、娘への愛情・・に好感が持てる。離婚歴の女の謙虚さ、ひた向きな気持ちが切なく愛しい。不倫の恋は、いやが上にも切ないものだ。小池真理子は、男と女の不条理の恋を描くのが上手い。2015/03/12

June

29
蛍の明滅、夜の空港…刹那的な情熱が光に照らし出されて、すっと滲むように消えていく世界。それは一瞬のことで現実はこんなシャレた風景や光に彩られてはいない。恋を終えようとする時、なんらかの美しい情景と思い出を融合させることで、抑えきれなかった思いを、心の奥に大切にしまい込むことができるのかもしれない。「冬の観覧車」秘密を秘めたまま夜の空港を飛びたつ彼を見送るさまが切なすぎる。恋の陶酔だけでなく、人間の欲望、矛盾、迷い、醜さも描かれているから惹かれるのだと思う。小池さんの描く、出口を見つけ歩き出す女性が好き。2016/11/11

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