内容説明
1980年代にMS-DOSでパソコン市場を制したマイクロソフト社は90年代、「本物」のOSを開発するプロジェクトを立ち上げます。本書は同社の世界戦略を担ったOS「ウィンドウズNT」の開発物語。ウィンドウズNTは後にウィンドウズXPの基盤となり、世界中で使われることになります。このプロジェクトのため、同社に「伝説のプログラマー」が呼び寄せられました。彼の名はデビッド・カトラー。強烈な個性を持つこの男を主人公に、開発者たちの壮絶な人間ドラマが展開します。100人を越える関係者とのインタビューに基づき、凄絶なソフトウェア開発の実態が赤裸々に描き出されています。単なる企業内の開発ストーリーという範疇を超えた、ノンフィクションの名作。
目次
第1章 コードの戦士<br/>第2章 コードの王者<br/>第3章 郎党<br/>第4章 袋小路<br/>第5章 熊の咆哮<br/>第6章 ドッグフード<br/>第7章 出荷モード<br/>第8章 死の行進<br/>第9章 バグ<br/>第10章 ショーストッパー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bayashi
14
Windowsの現行OSのベースであるWindowsNTの開発記。ソフト開発の色んなフェイズ・各立場の人間の苦悩、変人具合、私生活への影響あるある等をないまぜに、人物も多いのでカトラー以外ほぼ一致しないままもうめちゃくちゃで読み進めたが、それでも最後は熱くて泣けた。人生最良のときが終わって寂しい。時代は違うとはいえこのレベルの人達でもこんなんなってるのに、いわんや悪人をや。色々おおらかな90年代のノリ含めて面白かった。2021/08/13
A.I
6
面白かった。しかしほとんど土日も出勤して4年間も働くなんて無理だなぁ。20代ならなんとかなるかもしれないが…2024/01/01
barcarola
4
いろいろな場所で本書の噂は聞いていて、ずっと読みたいと思っていたのだが、ようやく。で、期待を裏切らない面白さであった。大プロジェクトの裏側って、やはり興味深い。当時のNTって、Macより使いにくくUNIXより信頼性が無く、MSって一体? と思っていたりもしたのだが、その後名前を変えながら現在でも使われ続けているわけで、この黎明期のプログラマの皆さんには頭が下がる思いです(って、白状するとWindows系のOSは今でも個人的には使っていないのだが)。2022/03/20
やす
4
WindowsNT開発のドキュメンタリー。関係者とその家族にもインタビューし開発当時の4年間の群像劇である。小エピソードの集積なので飽きる面もある。TVの番組でWindowsNT開発リーダーのカトラーとVHSの父高野さんを比較する企画があってカトラーは俺についてこいタイプで飴と鞭で人を動かすとされていたけど、実像はプレイングマネージャで好きなように仕事がしたい。部下など邪魔で管理はしたくないって人だった。見ると聞くとは大違い。WindowsNTが成功したのはカトラーの上司のコントロールによるもの。2011/02/19
pragma
4
マイクロソフトの内部事情をここまで公開しても大丈夫なのかと、 逆に心配になる内容ですが、マイクロソフトがどのようにして急成長を遂げたのかを 知ることができる貴重な一冊です。 ビル・ゲイツの生い立ちからNT開発までを本当の人物名を出して語られています。 マイクロソフトであってもNT開発は大変だったのだと、ある意味、安心しました。 また、企業が変われば、やり方も全然違いますね。 「泳げないヤツは、沈めばいい」や「ブログラマーのうち成績の悪い五パーセントをクビにする」 といった組織風土には驚きました。 2009/10/27