内容説明
〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する超全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは、真理省記録局で歴史の改竄に従事していた。彼は奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、伝説的な裏切り者による反政府地下活動に惹かれるようになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1291
凄まじいばかりの迫力だった。読み終わった今も興奮が覚めやらない。再読にもかかわらずだ。この小説が書かれたのは1949年。つまり1984年は35年後の世界。そして、今はその1984年から31年後。これはけっしてオーウェルの予言ではない。あくまでも小説として仮構されたものだ。しかし、2015年の今、我々は恐怖する。この仮構世界が忍び寄っていることに。「権力の目的は権力、それ以外に何がある」―その果てに主人公のウィンストンは、そして我々は皆等しく人間としての矜持や尊厳を根底から失ってしまうのだ。戦慄の読書体験。2015/06/25
ehirano1
857
なんとか読了。寝言さえも監視されてしまう恐ろしい社会で主人公は闘い続けました。そして読む側も本書と闘いながらの読書となりました・・・・・凄く疲れました。2016/03/08
Tanaka
513
1940年代の作品なのかと思うくらい現代でも通じる作品。自分が自分で無くなるのはもちろん怖いけど、そもそも自分がどのような教育だったり考え方を教えられたりで自分を作ってきたのか考えても同じような怖さが出てくる。自由とは何か、正義とは何か、といった感じ。2018/10/06
ちくわ
465
動物農場が面白かったので本作も。映画Vフォー・ヴェンデッタのような世界観で、反共産主義・反全体主義の結晶のような作品であった。今となっては古典に属するだろうが、世の中の三層構造が不変である事、最上位層は変化を望まない事、その変化を封じんが為だけに己の権力を維持しようとする事などは有史以来何も変わっていない。また現実世界では、中国がITを駆使して国民総監視体制を既に敷いており、もはやビッグブラザーは創作でも何でも無い。日本はまだマシなのか?いや、さほど変わらない気もする。ビッグ財務省に統制されてるもんな…。2025/03/29
Aya Murakami
410
確か通院途中の書店で購入。 テレスクリーンに二分間憎悪は現代のSNSの炎上事件にそっくりです。誰それが不倫して週刊誌で叩かれたというのも実は意図的なニュースであって…?そんな今の世の中はそんなものなのかもしれません。 本当に怖いのはSFガジェットではありませんでした。拷問のちに言葉による洗脳を受ける主人公スミス。言葉による洗脳方法も結構現代的でした。「黒を白と言え!」私が両親から口を酸っぱくして言われていることじゃないですか!2018/10/03