内容説明
栄華を誇った大唐帝国が滅びて40年、天下はまだ再統一の兆しすらない。脆弱な王朝のひとつ、後漢の将軍・趙弘殷の嫡子、趙匡胤(ちょうきょういん)は無実の罪で繋がれた牢獄から脱出し、義兄弟のちぎりを結んだ鄭恩と共に、都の開封をあとにした。宋を建国した趙匡胤のダイナミックな生涯を瑞々しく描いた中国歴史長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
44
まあ、他の人が言うとおりこの人が、なんで大王朝を築けたのか不思議ではあるのだけれど、短命におわった王朝の初代とはやはり違うところがあるのだろう。陳舜臣さんの小説ではこのひとべた褒めでした。太祖の遺言で、宋朝は、前皇帝の柴家を尊重し厚遇します。その末裔に水滸伝の柴進がでてくるという…2021/03/29
もりやまたけよし
34
教科書くらいの知識だった宋の国でしたが、簡単のその成り立ちを知る事ができました。小前さんってポイント解説的な小説が多いですね。ちょっとマイナーな選択も面白い。2015/01/05
ニックス
8
宋を建てた人。 どんな人生を過ごしたのか。どんな人だったのか。 あまり伝記を見たことがないから謎だった。 読んでみると、主人公ののんびりした感じが伝わってきた。 こんなのんびりと政権交代が起こったのか、ちょっと疑問があるけど。星22013/04/27
Henzen
6
中国歴代でも文化産出に定評のある、ある意味で文強武弱な文治国家、宋の創業者である趙匡胤について。紙面の都合か駆け足ですが楽しく読めました。この時代は興亡が激しく苦手ですが、人物にフォーカスしてるので大丈夫でした。溌剌とした青年のまま老いていくような趙匡胤の人物像に好感が持てます(どこか寂しさがつきまとうが)。権力闘争なんかは薄め。No.2が叛いたり、戦を繰り返した結果、自国の軍事力を削減していったのか分かりませんが、国家の性格というものを考えさせられます。最後に一瞬だけ楊業が出てきたのには心躍りました。2016/11/27
鐵太郎
4
いままで日本にほとんど知られていなかった趙匡胤という人物の前半生を、物語としてまとめたのがこの本です。父と子、義兄弟、権力者の腐敗堕落などを、読みやすい文章で描いています。歴史としてみると眉唾なところもあり、ちょっと引いて考えるべきでしょうが、痛快な物語としては面白い。「李世民」の時より文章がこなれた感じがします。読んでいて楽しいですね。こんな歴史絵巻なら、もっと読んでみたい。2009/08/29