光文社古典新訳文庫<br> ワーニャ伯父さん 三人姉妹

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光文社古典新訳文庫
ワーニャ伯父さん 三人姉妹

  • 著者名:チェーホフ/浦雅春
  • 価格 ¥748(本体¥680)
  • 光文社(2013/12発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334751876

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内容説明

若い姪と二人、都会暮らしの教授に仕送りしてきた生活。だが教授は……。棒に振った人生への後悔の念にさいなまれる「ワーニャ伯父さん」。モスクワへの帰郷を夢見ながら、次第に出口のない現実に追い込まれていく「三人姉妹」。生きていくことの悲劇を描いたチェーホフの傑作戯曲二編。すれ違う思惑のなかで、必死に呼びかけ合う人々の姿を、極限にまで切りつめたことばで浮かび上がらせる待望の新訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

keroppi

93
映画「ドライブ・マイ・カー」を観て、読んでみたくなった。映画の中では「ワーニャ伯父さん」の芝居がとても印象強く描かれる。この本を読んでみると、たくさんのセリフが出てくるが、対話があまり成り立っているように思われない。解説によると、チェーホフの芝居は「コミュニケーションの不在」「ディスコミュニケーションの芝居」として語られるそうだ。映画の中の棒読みや各国言語の混在は、チェーホフの芝居を突き詰めた結果だったのだ。そこから生まれてくる人生の悲劇性。映画のテーマともダブってくる。ラストのソーニャの言葉は印象的だ。2022/05/10

アキ

93
映画・小説「ドライブ・マイ・カー」でチェーホフ『ワーニャ伯父さん』が出てきたので、『三人姉妹』とともに読む。村上春樹「女のいない男たち」に通底するのは、中年の人生の憂鬱であった。ワーニャがセレブリャコフに拳銃を発砲するのも、三人姉妹のクルイギンが妻マーシャとヴェルシーニンとのキスを見ないフリをしてやり過ごすのも、「真実はどんなものであれ恐ろしくはないの。いちばん恐ろしいのはそれを知らないでいることよ」とエレーナの言う台詞に集約されている。チェーホフの非情さを、中年の人生に見る戯曲2篇。堪能しました。2021/08/22

ケイトKATE

61
映画『ドライブ・マイ・カー』で重要な役割を果たす『ワーニャ伯父さん』。読むうちに、何度も心がはちきれそうになった。田舎で冴えない人生を送る中年男性ワーニャの嘆きばかりの言葉は、ワーニャと近い年齢に達した者として心に響いてくる。『ワーニャ伯父さん』を読むと、幸せとは何だろうかと考えてしまう。最後の場面で、ソーニャが語る台詞に心を打たれるのは、幸せを感じられないワーニャにとって、自分を理解してくれる人がいることが救いとなっているからである。これから人生に行き詰った時に、読み返してみたくなる作品となった。2022/03/30

ゆう

58
映画「ドライブ・マイ・カー」のもう一つの原作本と言って差し支えないのでは。ワーニャ伯父さん、三人姉妹いずれも青春が終わった後を生きる人たちの物語。大半を無為な会話が埋め尽くすが、その中に覗く人間心理の美しさとくだらなさと仕様のなさ。愛は救いにならないが、こんなの、やっぱり愛するしかないなあ。エレーナとアーストロフが思いを語り合う場面に立ち会ったワーニャの「エレーナ、僕見ちゃった」がなかなかの「ドライブ・マイ・カー」批評として効いてる。労働を希望と語るソーニャの台詞はブルシット・ジョブ読後だとしっくりこず→2022/02/03

yumiha

54
遅まきながら、初チェーホフ💦「ワーニャ…」にも「三人姉妹」に何度も出てくる「200年・300年後を生きる人たち」というセリフに考えてしまう。根性悪の私は、200年後の現在のロシアの人々は、あまり仕合わせとは思えない…プーチン政権に抑圧されているだろうから。たぶん300年後も大差ないと思うよ。また三人姉妹は何度も「ロシアへ帰りたい」と言う。つまり、生きるには辛すぎて、今ではない「200年後…」という時間、ここではない「ロシア」という空間を夢想することで、なんとか耐えて生き延びようとしているように思えた。2023/01/24

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