内容説明
大衆の心性に最も影響を与え、時代の脈拍や肉声をよく伝える、新派、新国劇、宝塚、軽演劇等々の複合的、中間的なさまざまな分野の演劇は、歌舞伎の変容や新劇の盛衰とどのように関わったのか。また、劇場の明りや匂いなどから、近代の演劇空間の変貌を子細に読み解く。
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目次
1 メロドラマの誘惑(新派というジャンル 「ヴィクトリアン・ジャパン」の島村抱月 二人のスペンサー―科学と見世物の間)
2 成立期の「近代日本演劇」(十九世紀的発想としての「我が邦の史劇」 「日本演劇史」の成立 文士劇の時代)
3 叙景の後退と変容(翻案劇の時代 「保名」という気分 「道行」はなぜ近代に衰退したのか)
4 迷走する近代(「スピード」の時代 「芸道物」としての新劇 占領期日本演劇の一面 表現史としてのリアリズム)
5 モダン都市の観劇空間(明治東京の観劇空間 「夜」という約束 劇場の匂い・演劇の嗅覚)