内容説明
謎のキリスト教王国を支配する「インド」の王中の王ヨハネ=プレスター・ジョンから西方の皇帝宛の書簡と、東方大遠征の途次にアレクサンドロス大王がアリストテレスに送った手紙。そこに描かれる乳と蜜の流れる東方の楽園には、黄金と象牙と宝石が溢れる壮麗な王宮が煌めく。一方で鰐皮の蟹、犬頭人など奇怪な動植物や人種が跋扈する。東方幻想に中世人の想像界の深奥を読み解く。(講談社学術文庫)
目次
はじめに 「インド」の幻想
I アレクサンドロス大王からアリストテレス宛の手紙〔ラテン語〕
II 司祭ヨハネの手紙(1)〔ラテン語ヴァージョン〕
III 司祭ヨハネの手紙(2)〔古フランス語ヴァージョン〕
訳註
訳者解説
主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
16
☆3 アレクサンドロス大王からの手紙を読んだアリストテレス「インドスゲェ」 司祭ヨハネからの手紙を読んだロマニアの指導者マヌエル「インドパネェ」 司祭ヨハネからの手紙を読んだローマ皇帝フリードリヒ「インドヤベェ」 本書を読んだ私「プリニウスの『博物誌』に出てきそうなトンチキ生物のオンパレードだなー」 動物・人間・寿命・建物・宝石・自然その他諸々いくらなんでも盛りすぎだろレベルで笑えます。2025/09/01
evifrei
13
アリストテレス宛の書簡という形式で語られるアレクサンドロス大王の東方遠征における見聞録と、東方に存在したとされるプレスター・ジョン伝説を内容とする。本書では東方における驚異としてインドでの奇譚が語られているが、西洋の中世でいうインドは抽象的で棒漠とした広範囲を意味し、『東方』という言葉で捉えられる未知なる領域に対する中世の人々の有した神秘の念が鮮やかに描かれている。個人的にはアレクサンドロス大王の末期を予言する、ギリシャの言葉とインドの言葉をそれぞれ話すことができる太陽と月の聖樹の説話がお気に入りだ。2020/03/22
いとう・しんご
9
読友さんきっかけ。「皇帝の閑暇」の方が図書館にないのでこっちを借りてきたら、開けてビックリ、U.エーコの「パウドリーノ」に取り上げられていたプレスター・ジョンの偽書簡が収録されているのです。いやぁ、思わぬメッケモノ。でも、内容は黙示録も裸足で逃げ足す奇想の連続で、正直、当方の想像力がついていけないのでした・・・2024/01/18
三柴ゆよし
9
エーコ『バウドリーノ』で超重要な役割を果たす司祭ヨハネの手紙全文が読めるほか、「アレクサンドロス大王からアリストテレス宛の手紙」中のあるくだりを、エーコはそのまま引用しており、小説と併読するとこのうえなくおもしろい。2018/12/17
misui
5
アレクサンドロス大王の東征伝説やプレスター・ジョン伝説の元となったテキストを収める。プリニウスなどの博物知識は中世においてどのように流通していたのか(そしてこのような荒唐無稽なテキストに援用されるようになったのか)はちょっと気になるところ。2018/11/30
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