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内容説明
自然は全部知っている。私は自然が喜んでくれるようそっとお世話をしているだけだ。常識はずれの無農薬・無肥料リンゴ栽培を成功させ、時の人となった農業家が苦難の足跡をたどりながら独自の自然観を語る。
目次
第1章 木村、やっと花が咲いたよ
第2章 農薬はつらい―無農薬・無肥料への一念発起
第3章 死を覚悟して見つけたこと
第4章 米の自然栽培は難しくない
第5章 全国、世界へと広がる輪
第6章 すべて観察からはじまる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
51
無農薬栽培は農薬散布を減らす延長にはない。一回とゼロ回の間には厳しい試練がある。それは、原理原則、基本の基本を求める帰らぬ旅路。仮に、それが分かったとしても何をしたらいいのかは誰も教えてくれない。流す汗に無駄はなく、必ずいつかは返ってくると信じ、多く失敗することだ。観察し、試し、悩み、考え抜くこと、奇跡は呆れる程の単調さから生じる。死を覚悟して悟ったことは、自然には生命があふれ、全てが循環していること。何一つ無意味なもの、邪魔なものはないこと。人間も同じ。自然の調和環境から逸脱すると本来の姿から変質する。2014/01/16
Willie the Wildcat
38
無心に問いかけ、観る。試行錯誤。但し、過信せず、常に変化に気を配る。弛まぬ探究心。目標到達までの過程における、著者の心情が印象深い。技術論以上に、人生学の観点での学びを垣間見る。生きるためではなく、生かされていることへの喜びと感謝。利便性と引き換えに、(人間として)大切な何かを失っているのではないか・・・。特に食生活を考えさせられる。蛇足だが、大根の”回転”ときゅうりの”ヒゲ”は、是非自身で確認したいものだ!2013/11/05
シュラフ
32
私の路線とは違うのだが、みんなが「いい、いい」というもんだから読んでみた。一読の価値はあるかもしれない。"奇跡のリンゴ"をつくりあげた苦労話に感動するだけではもったいない。学ぶべきは、木村さんの農業に対する姿勢である。農薬・肥料がなければ農作物は育たないというのは本当なのか、という問題意識。そして田んぼ・畑を徹底的に観察したうえでの創意工夫の試行錯誤。なによりもリンゴの気持ちに寄り添って考えることが成功のヒントだったという気づき。壁を乗り越えた時に奇跡はおこる。農業のみならず、他のどんな仕事にも通じる話。2017/03/02
うりぼう
27
長谷川さんのオススメ。「奇跡のリンゴ」も「宇宙の采配」も未読だが、この本は、技術的な話が多く面白かった。真の科学者が農をするとこうなる。徹底した観察が原点。山を見ると虫も湧かない。野菜に虫がいるから安心というのも違うというのが、すごい。自分も自然栽培をやってみたらという気にさせるが、きっと私には、キュウリのひげは巻きつかない。心を無にして観る。どんな仕事も同じなんだ。2009年ベスト6位。2009/11/24
ジェンダー
26
他の事業でもそうだけど借金をしても自分を信じて11年やり続ける力はすごいと思いました。失敗を重ねていると同じ敷地で仕事をしているわけではないのに人間扱いしてもらえないというきつい人間関係を乗り越えての成功は励みになります。2013/06/09