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内容説明
不条理ゆえに美しい 「この世ならぬもの」が誘う世界――。山中に棲む謎めいた美女の虜になる表題作「闇の鶯」ほか、「それは時には少女となりて」、「涸れ川」など、幻想性あふれる全5作品収録!! 圧倒的イマジネーションによる独自の作品世界で、熱狂的な支持を得る鬼才・諸星大二郎!! 彼が描く、妖しく濃密な異界録。傑作短編集!! 諸星大二郎自身による解説「作品解題」も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
58
2009年なのか。表紙もよく観察すれば中心の灯りはパソコンなのだな。表題作は山奥に棲む謎の女性・鶯と、開発の尖兵として送り込まれた営業所職員たちの闘争を描く・・・というか、環境破壊へのアンチテーゼ。怖くはない、むしろ良い話。悪い人は出てこないしね(悪いのは人の集合体たる企業という事かな)。怖いのは稗田礼二郎先生がチラチラ姿を見せる『それは時には少女の姿となりて』と『描き損じのある妖怪絵巻』か。前者は書簡のみ稗田先生が登場。蒙古の城壁の向こうから来る“何か”。解説にある通り妖怪ハンターシリーズには (続)2023/09/01
アズル
22
妖怪ハンターの稗田、渚君がそれぞれ登場。表題作はなんとも社会派な感じでした。2016/10/29
のがわ
13
短編集「それは時には少女となりて」大島くんと渚が登場する〈粟木町〉もの。「六福神」や「帰還」(『妖怪ハンター水の巻』収録)と異なり大島くんが異界に引かれる。「人魚の記憶」結末が怖い。「描き損じのある妖怪絵巻」は稗田が登場、ムック企画作品とのことだが、他エピソードにない新鮮な雰囲気。表題作「闇の鶯」は山奥の土地を守る山姥とハッカー少年がパソコンを駆使して戦うという奇想天外な物語だが妙にユーモラスな側面も。「涸れ川」は初期作品の雰囲気をもつSFテイストを持った幻想譚。2015/07/10
ぐうぐう
13
はあ~、おもしろい! 単行本未収録集とのことだが、なぜに今まで未収録だったのかわからないほどのおもしろさ。諸星漫画のおもしろさは、手塚をも嫉妬させたと言われる独特のタッチにもあるが、民俗学的アプローチからの物語でありながら、きちんと現代を描いてる点だ。昔話としてではなく、現在の物語としての怖さが、ここにはある。2009/04/26
のれん
10
言わずと知れた民話を題材にしたシュールホラーの大家による短編集。 表題作は古めの自然賛美社会派作品だが、木霊などの民話の知識量と比べてネットなどの現代側への関心がなさすぎる所は惜しいところ。矛盾を抱えながらも対立する立場を描いて欲しかった。ただ、最後のオチというか各キャラがバラバラに納得できる好きな道を歩んでる所は好き。 一番良かったのは最後の「涸れた川」。異界っぽい世界で異質な生活を営む人々。彼らのムラに立ち寄る主人公はマレビトであり、その存在はどこまでも異常でしかなかった。小気味良い展開がとても好き。2020/07/30