内容説明
女性が理系の道を選ぶことも困難な時代に地球化学の分野で世界的な業績をあげ,さらに後進を育てようと女性科学者を顕彰する「猿橋賞」を設けた猿橋勝子.自らも猿橋の精神を受け継いで後進育成に尽力する著者が,その直向な生き方を伝えることで若い女性に勇気を与えたい,と次世代へのエールを込めて綴る渾身の評伝.
目次
目 次
執筆までの経緯
プロローグ
1 誇り高き科学者
2 海水の放射能汚染
3 道場破り・現代版
4 科学者への道
5 科学者として生きる
6 女性科学者としての仕事
7 初心を貫いた人生
エピローグ
執筆を終えて
猿橋勝子の年譜
参考文献および注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
booklight
34
岩波科学ライブラリーは割と自由に科学者に本を書かせているようで、たまにあたりがあるのでつい手に取ってしまう。猿橋氏も知らないし猿橋賞も知らなかったが(恥ずかしい)、なかなか楽しく読めた。日本の女性科学者の草分け。アメリカの水爆実験が当初より影響が広範囲に及ぶことを海水中の放射能分布の調査により説明。アメリカ側がその調査に難癖をつけたのでアメリカまで行ってその調査方法を競って、猿橋氏に軍配が上がる。その後も業績を積みつつ、女性科学者の発展にも力を注ぐ。「まず実績を挙げなさい」という言葉にしびれる。2020/02/16
和草(にこぐさ)
13
米沢富美子さんの本を読み、初めて知った猿橋勝子さん。日本女性科学者の第一人者。お二人共に素晴らしい方々。2019/04/10
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
7
読書会【テーマ 夏休みはこれを読もう】【定例会 テーマ 勇気の出る本】 1954年の第五福竜丸の事件で、死の灰の成分を始めて分析した女性。海底深くの核実験は安全というアメリカの主張は根底からひっくり返った。女性が科学者になるのが難しがった時代、彼女こそ勇気のある人間と言えるだろう。2017/07/11
calaf
6
これまで全く知らなかったのですが、戦前戦後に活躍された地球化学者のようです。定年後は、女性科学者の地位向上に向けて努力を続けられたようです。こんな人、いたんだ...と同時に、どうして名前さえも聞いたことがなかったのだろう...2012/09/13
やま
2
岩波科学ライブラリーが面白いらしいと言う話を聞き、紀伊国屋でその場所に行ってみた。気になったのがこの本。猿橋さんは地球化学学の分野で大活躍されていたことは知っていた。しかも、猿橋賞を設立されて、女性科学者にエールを送り続けている。一体どんな人なのだろうと昔から思っていた。 読んでいて、そのスーパーレディ振りに、ただ、唖然としてしまうだけである。執筆は米沢富美子。物理学会で学会長になった女性で、この人もスーパーレディの一人。 2015/03/04