ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 川は静かに流れ

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ハヤカワ・ミステリ文庫
川は静かに流れ

  • ISBN:9784151767029

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内容説明

「僕という人間を形作った出来事はすべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えている」殺人の濡れ衣を着せられ故郷を追われたアダム。苦境に陥った親友のために数年ぶりに川辺の町に戻ったが、待ち受けていたのは自分を勘当した父、不機嫌な昔の恋人、そして新たなる殺人事件だった。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

142
訳者さんの力量に参りました!な作品です。きっと作品の原文自体も素晴らしいのでしょうが、なんせ翻訳のまさにタイトルがごとく「静かに流れ」る文章は、とても美しく感じました。話自体は普通といえば普通の海外ミステリーで、やはり家族を軸にした展開で進んでいくのですが、その流れの中で、垣間見る情景の美しさがまるで映像をみているかのように伝わってきます。海外モノは文字数が多く、文章も周りくどくて読みづらいと、ちょっとしたアレルギー反応をお持ちの方も、まるで海外モノではないのではと疑いたくなる本作から是非どうぞ!2010/06/06

やきいも

94
殺人の濡れ衣を着せられて故郷を追われた主人公アダム。彼は故郷に戻り、新たなる殺人事件に巡り会うが...。文章や描写が美しく、独特の味わいがあった。2016/11/11

キムチ27

46
表題に惹かれる。余りに内省的で陰鬱な文章、読み手些か酩酊気味に。主人公アダム、五年ぶりに故郷に戻った彼を引き戻したのは親友ダニーの窮地。その後の展開は両親、兄弟、恋人らとの錯綜するもの。過去の煌めきも暗い詩情あふれた描写で語られていく。ミス大賞モとは言え、むしろ人間関係を河の流れに例えた文学的香りが強く出ているように思えた。父の過去の所業、意外な人物のうめき声、義母の自己犠牲…すべては深い河の底を流れて、静かにかつ悠然と時は過ぎていく。2015/06/07

紅はこべ

46
前作の『キングの死』読んだ時も感じたが、この作家、というよりアメリカの男性にとって、父と息子の関係というのは、特別のものがあるのだろう。日本では、母と娘の関係の方が小説になりやすいが。つくづく父権社会だと感じる。普通冤罪をかけられた主人公は、無罪評決を受けても、真犯人探しに熱中するものだが、この主人公にその傾向がないのが不思議。2015/04/02

James Hayashi

34
エドガー賞受賞作。著者は「検屍官シリーズ」のパトリシアコーンウェルが出たDavidoson College出身。ちなみにNBAのステファンカリーも在籍した小さな大学。ミステリーであるが時と川の静かな流れを感じさせる文体。タイトル訳がいい。シャーロット近郊が舞台で昔を思い出しながら読んだ。殺人もあるがゆっくり解明されゆくチェイス家の事件に時を忘れさせた。2017/02/12

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