内容説明
真夜中に出没し、超低金利で高額融資をする『090金融』ヴァンパイア・ファイナンスを営む万城小夜。今夜も獲物=融資客を求めて蠢く。 デート終わりの送りオオカミをめざす日野健壱。 性転換手術をしようとしている大田美佐季。 振り込め詐欺グループに復讐を目論む『やえざくらの会』の老人たち。 ドラッグ・デザイナーを辞めたがっている濱田しずか。 都会のアンダーグラウンドで息する彼らは小夜に出会い、融資をうけるかわりに自身の問題に首を突っ込まれまくる。そして、債務者それぞれ衝動や欲望をフルスロットルにし、ひしめきあって無限に増殖するのだった──!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
65
ヴァンパイアものかと思ってたら違ってました。個人的に大注目の作家さん、真藤順丈さんの電撃文庫作品。超低金利で高額融資をしてくれる闇金「ヴァンパイアファイナンス」、巨額な資金を動かすのは金の犬歯をもつうら若き万城小夜。彼女に目をつけられた4人の一人称で語られる物語は勢いがあり、会話だけで誰が話しているかが分かるキャラ造りや構成も面白い。そして何だかんだ言いながらも主人公万城に引き付けられていく4人がいいですねぇ。知り合いたい様な知り合いたくないような、でも決して敵には回したくない万城小夜、良かったです。2017/05/21
翔亀
31
【物語6】電撃文庫である。そしてヴァンパイアで貸金とくれば、ほとんどどんな作品か見え見えでないか。流石に今さらこんなの読むものか、と思っていたが、稀代の物語作家ではないかと目している真藤順丈のこと、何かやらかしているのではないか、と念のため読んでみた。果たして、やらかしていた。■確かに、電撃文庫の形式に則っていて、擬態語連発で夜の東京を猛スピードで突っ走っている。しかしその疾走感がただごとでない。徹底して夜だけの描写、畳みかけるような場面転換、ドラッグや暴力団やキャバレーといったお馴染みの素材の中に、↓2021/09/15
MarsAttacks!
15
タイトルから勝手に吸血鬼ものと思っていましたが、全然違うものになっていました。登場する人々を狼男やゾンビ、魔女などのモンスターに譬え、彼等と闇金ヴァンパイア・ファイナンスを営む「万城小夜」が奏でる群像劇となっています。物語はかなり乱暴な展開とグダグダのラストですが、最後まで読めたので、読ませる力は有ったのかも?すべてのエピソードが一つに収束されれば、もっと良かったのに。2012/01/07
miroku
12
タイトルは色ものっぽいが、よく練られた内容で読ませる。ラノベなので仕方ないとは思うが、ラストの甘さが残念。2013/10/04
dynamonda
7
送り狼になろうとする男、夜な夜な集まる老人グループ、スイーツをたらふく食べる謎の集団、悩みを抱える女。それらのもとにヴァンパイア・ファイナンスを名乗る万城小夜があらわれ融資を持ちかける――。真藤順丈のデビュー作4作品のうちの1つ。4つの視点が切り替わり進んでいく群像劇で、今まで読んだ真藤作品の中では一番ポップなエンタメ寄り。色々なエピソードが絡み合う面白さもあるし、各々が決意に満ちあふれているのが印象的だった。夜の街が舞台だけど、明るいエネルギーにあふれる作品。2022/03/13