内容説明
男はなぜ少女を拉致したのか?9年2か月にわたる監禁の全貌とその後の新事実を明かす衝撃のノンフィクション。新潟地裁から最高裁まで取材し続けた著者が、事件の経緯と男の心理を丹念に追い、監禁事件の真実を炙りだす。文庫化にあたり再取材を重ねて、大幅加筆。 《解説・大谷昭宏》
目次
第1章 事件発覚(北へ走る男;少女が消えた ほか)
第2章 裁判(私は幸せ。自由になれたから―初公判・平成十二年五月二十三日;彼女が汚染されるのが許せなかったんです―第二回公判・平成十二年六月二十七日 ほか)
第3章 判決(間違いのないように、やっていく―第六回公判・平成十三年十月十六日;男を日の当たる場所に出さないで―第七回公判・平成十三年十一月三十日 ほか)
第4章 控訴審(原判決の量刑はあまりに重すぎる―初公判・平成十四年十月二十二日;情状酌量ではない―控訴審判決・平成十四年十二月十日)
第5章 上告審(原判決を破棄する―上告審・平成十五年六月十二日・七月十日;判決その後―二度と彼女に会うつもりはありません)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
516
事件が発覚した際には、わたしはもう海外に出ていたけれど、そのインパクトの強さは昨日のことのように覚えている。母親が同居していたのに、なぜ?少女はなぜ逃げなかった?何故なぜナゼの連続だった。その数々の「なぜ」に、このドキュメンタリーは忠実に答えを出そうとしてくれる。ググってみたら、犯人は「障害者手帳」(恩恵多し)を持って出所、現在は千葉県在住、母親は認知症を患ったのち死去、とのこと。被害者のお嬢さんもトラウマを抱えながらも、今では普通の暮らしをされているようだ。いろいろ納得はできないが、読めてよかった。2023/04/29
gtn
38
九歳の女の子を車のトランクに押し込んで連れ去り、自室で殴ったり、スタンガンで通電させたりして心身に傷を負わせ、逃亡の希望を奪い、九年二か月も監禁した男。精神鑑定の結果、強迫性障害が認められるものの、精神の病はなかった。いわば、理知的に、欲望を満たしたということ。弁護側は、心神耗弱を理由に減刑を求める方針に出たが、それは被告に対する差別。当時目一杯の刑を下した一審、最高裁こそ、被告の"名誉"を認めるもの。2022/12/16
ステビア
24
裁判の傍聴記。犯人は出所後孤独死したとのこと。なんともはや。2021/11/22
鈴
19
被害者のお父様お母様の、コメントや裁判での証言では涙が止まらなかった。2012/10/04
kera1019
14
ほとんどが裁判傍聴記事なんで冒頭陳述による事件の経過、不潔恐怖症の脅迫性障害の事や監禁状況を話す被告、被害者の供述調書、被害者の両親の証言など、一つ一つがリアルで生々しい。被害者の父親が証人喚問で語った「九年が… 時間が埋まりません。」という言葉が印象的で、被害者の家族が被害者を普通の生活に戻すために背負ったものが如何に大きいか私には計り知れませんが、それを思うと胸が苦しくなる。2013/09/06
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