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内容説明
戦後、大衆からの絶大な人気を誇り、市川宗家の名跡のもとで劇界を背負う宿命を負った名優、十一代目團十郎。妖艶な美貌と才芸を武器に、人間国宝、文化勲章などの権威を次々手にして這い上がった不世出の女形、六代目歌右衛門。立場の異なる二人が一つの頂点を目指したとき、歌舞伎界は未曾有の変革を孕んだ――。華やかな舞台の裏に潜む、人間の野望と嫉妬、冷徹な権謀術数の数々。最大のタブーの封印がいま解かれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葵
27
面白かった!團十郎と歌右衛門の芸についての話ではなく時系列を追って、二人の立場がどうなっていったのか、歌舞伎の戦後の流れを示しつつ、権力闘争としての面からみた本。歌舞伎界の頂点に君臨した六代目歌右衛門は相当な権力をもった「女帝」となるわけだが、歌右衛門はもう亡くなっているし、権力を目指して用意周到な政治力を駆使していたのか、その心の内はわからない。昔の文献から推測される作者の推理のようなものも多く書かれているので実際のところが気になるが、面白い。円地文子さんが歌右衛門をモデルにした小説を読みたくなった。2024/07/15
ぐうぐう
4
リアリストとして女帝への道をひた走る六代目歌右衛門と、神として伝統を頑なに生きようとする十一代目團十郎、その二人を主人公にして、戦後歌舞伎史を実にスリリングかつドラマチックに描き出す、中川右介の『十一代目團十郎と六代目歌右衛門』。政治力を駆使し、名誉と権力を次々に手にしていく歌右衛門に対しても、そしてストライキや欠席、主演拒否を繰り返す團十郎に対しても、著者である中川は善悪の二元論といった短絡的な尺度で人物像を決定しない。(つづく)2011/04/27
みそさざい
3
面白くはあったんだが誤植かなり多し。伽羅先代萩にわざわざ『きゃらせんだいはぎ』とルビを振る体たらく。そこは『めいぼく』でしょうが。かなり残念。一事が万事この調子。役者の親子関係にはこだわりを持って書き進めているようだが、その割に実子関係の有り得ない場合をスルーしている部分もあり、整合性のとれない箇所も散見される。校閲の技量も問われるところか。題材としては興味深かっただけに惜しかった。2012/03/31
左近
2
養子であるが故に、市川宗家の名誉を汚してはならないと自らにプレッシャーをかけ、追い詰められてしまった十一代目:市川團十郎と、出生の秘密を封じ込め、芸の力と政治力で歌舞伎界の支配者となった六代目:中村歌右衛門を対比させながら、歌舞伎が庶民の娯楽から国家の保護を必要とする「博物館」的存在へと変容する様を、劇界の闇の部分にも光を当てながら描く、ドキュメンタリー・タッチの読み物。役者をきちんとマネージメントできなかったり、過労に追い込んでしまったりする興行側の問題は、つい最近も語られたばかりですね。2013/05/25
みつひめ
2
この本が生まれるきっかけは、保さんの『歌右衛門伝説』だったんですね。なまじの小説よりよほどドラマティックでした。もっとスキャンダラスな感じで書かれているのかと思いましたが、そうではありませんでした。十一代目團十郎の舞台、見てみたかった。そして、歌右衛門さんももっと見続けていればよかった、そんなことを思いました。歌舞伎に興味がある方には、面白く読めると思います。2009/02/14
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