光文社古典新訳文庫<br> 若者はみな悲しい

個数:1
紙書籍版価格
¥990
  • 電子書籍
  • Reader

光文社古典新訳文庫
若者はみな悲しい

  • ISBN:9784334751722

ファイル: /

内容説明

理想の女性を追いつづける男の哀しみを描く「冬の夢」。わがままな妻が大人へと成長する「調停人」。親たちの見栄と自尊心が交錯する「子どもパーティ」など、本邦初訳4篇を含む9篇を収録。アメリカが最も輝いていた1920年代を代表する作家フィッツジェラルドが、若者と、かつて若者だった大人たちを鮮やかに描きだした珠玉の自選短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

141
『ギャッビー』の前後に執筆された短編9つ。中でも現実を直視しない男を現実的な語り手が観察する『お坊ちゃん』の構図はそれを彷彿とさせる。『調停人』で成長を讃える一方で、『冬の夢』や『常識』では成長のほろ苦い代償がフォーカスされており、リアリストとしての著者が垣間見れる。『グレッチェンのひと眠り』然り、古い価値観と見栄に縋りついて醜態を晒す男を描く際の皮肉や滑稽味も彼ならではだろう。過ぎゆく時代に煌びやかな夢を求める若者たちの浮薄な情緒や孤独や悲しみなどを、社会と人間に対する鋭い観察の元に鮮やかに描いた一冊。2021/05/31

優希

101
タイトルの「悲しい」という意味が考えさせられる短編集でした。若者、かつて若かった者の抱える様々な想いと成長が鮮やかな色彩を見せます。だからこそ、「悲しい」という言葉が色々な表情を持つ感情になっているのかもしれません。2017/03/31

どんぐり

83
「お坊ちゃん」「冬の夢」「子どものパーティ」「温血と冷血」など9つの短編。いまの時代、「お坊ちゃん」(The Rich Boy)なんて漱石の作品に“お”をつけた題名にしているのが、釈然としない。これは好みだが、訳文も切れ味悪く、相性が悪い。それでも2、3面白い作品がある。隣人の「子どものパーティ」に大人同士の殴り合いの喧嘩。もう一つ、市電でのお車内で図体の大きい女性におせっかい(親切)をしたことで、妻が席を押し出されてしまう「温血と冷血」の話は面白かった。→2025/05/13

Mijas

57
「もう二度とあの時はかえらない」「あの何かが戻ってくることはない」「かつては存在したものはもはや存在していない」そんな言葉が書かれている短編集。1920年代、好景気に沸いたアメリカの回顧録のよう。東部に住むエスタブリッシュメントが描かれているのだが、彼らの心はどこか哀しい。グレート・ギャツビーと重なる「お坊ちゃん」「冬の夢」「常識」が好み。心に抱く優越感が満たされるとき、彼らの哀しみは癒されるのかもしれない。「あらゆる時間の経過に耐える鋼鉄の色を美しいと言うしかない」(冬の夢)2016/03/31

SOHSA

56
《kindle》フイッツジェラルドの代表作「グレート・ギャツビー」はもちろん素晴らしい作品だが、この「若者はみな悲しい」も作者の魅力が十二分に詰まった名作だと思う。収められた9つの短編はいずれもウイットと悲哀に富んでいて甲乙つけ難い。中でも「ラッグズ・マーティン=ジョーンズとイギ○スの皇○子」は他の作品とは趣きを異にして惹かれた。フイッツジェラルドの作品はそれほど多くはなく佳作もあればそれほどではないものもある。しかし、米国の一時代を代表する作家であることは疑いない。胸の奥がひりりと痛んだ。2019/04/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/490533
  • ご注意事項

最近チェックした商品