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内容説明
40年間、インドで不可触民解放と仏教復興運動に命を捧げる“怪僧”の物語。“人間失格者”から、その名を全インドで知られる“荒法師”へ――。「金もいらぬ、名もいらぬ、命もいらぬ」が信条、色情因縁、悩み深き人間がインドで“観た”ものとは? “生”を根源から問う、数奇にして壮絶なる波瀾万丈の半生記。書籍刊行時にはカットされた、女性に殺されかけた抱腹絶倒(?)のタイ修行時代の原稿が復活。〈ノーカット:完全版〉
目次
第1部 人間失格、そして出家(生い立ち 再び故郷へ 出家)
第2部 インドへ(汝速やかに南天竜宮城へ行け インド仏教徒の中へ さらに民衆の懐深く 国外追放の危機)
第3部 永遠の求道(大菩提寺奪還闘争 不屈の前進 無期限闘争宣言 秀嶺を取り巻く群像)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
29
何とも凄みのある一冊だ。なぜ、こんなにも偉大な人のことを学校で伝えないのだろうか?痛快無比で笑えるところもたくさんあった。感涙に咽ぶところもあった。インド史入門としてもとても勉強になった。2023/04/09
takeapple
18
凄い人がいたもんだ。インド仏教復興に生涯を捧げている。アーベンドガルという人についても知ることができたし、カースト差別に苦しむ人々が今も多いということ、もしかしてそれが当時も大乗仏教が生まれた原因なのかとも思えた。佐々井秀嶺師の師匠が妹尾義郎と共に治安維持法違反で検挙された方だったということに成る程と頷けた。大乗仏教の本来の在り方何だろうなあ。2018/09/20
スズコ(梵我一如、一なる生命)
13
久しぶりの人物伝。何かを成す人の覚悟と度胸を読むと自分自身の迷いに少し客観的になれる。本書の内容は佐々木さんのインドでの仏教復興運動の闘いであって仏教の教えではない。彼自身がカリスマ的であるのは間違いないがカーストに喘ぐインドで日本の精神文化の素の実践が合致したのだろう。あと佐々井さんの暮らしは清貧かも知れないけれど、周りでは間違いなく凄い金が動いてるのもわかる。だってインドだもの。そして、ガザ地区での紛争が収まらない今、大菩提寺返還運動が結局未だ達成されないこともそんなもんだろうなと逆に納得した。2024/01/14
崩紫サロメ
12
インド仏教の再興者佐々井秀嶺の生涯を描く。本人の著書を含めいろいろ読んできたけど、インドに行くまで、つまり日本やタイでの色欲に苦しんだ日々の話は初めて知った。あと、インドでは仏教は伝統宗教ではなく、カースト制からの解放運動という側面がかなり強い。良くも悪くもインド仏教が「近代的」なのは、インド仏教の祖で憲法制定者であるアンベードカルがケマル・アタテュルクを敬愛していたことと無関係ではないように思う(『アンベードカルの生涯』)。2020/07/07
やえもん
12
金もいらぬ、名もいらぬ、命もいらぬという帯を見て手に取りました。超大国インドの複雑な事情を読み解くには、はずせない本だと思った。インドの有力な宗教指導者がなぜ日本人であるのか、また、日本人である私どもが佐々井秀嶺を知らないのだろうと不思議に思った。誠意は、外国にも通じる、あるいは世界共通のものだと思った。ここには、命を賭けた本物があると感じられた。また、自分が一生懸命取り組めば、いろんなものが集まってくるという実感を強められた。感動しました!2010/12/12