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内容説明
かつて“W村上”などという呼び方をされた時期もあったが、龍のファンは春樹が苦手で、春樹のファンは龍が嫌いだったりすることが多い。しかし、二人の作品を時代ごとに対比させると、両者とも「アメリカ」「戦争」「セックス」「バブル経済」「崩壊の予兆」「十四歳」など、根っこの部分で驚くほどテーマがつながっていることがわかる。両MURAKAMIの物語によってあぶりだされた私たち自身の時代を振り返る、今までにない鮮烈な試み!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
45
(あとがき) 『海辺のカフカ』から『アフターダーク』、メタファー駆使した傾向強まる。SF(サイエンティフィック・フィクション)からSF(スピリチュアル・フィクション)へ。龍、長年築き上げた情報ネットワーク、他分野専門家の教唆吸収、新しい時代に通用するためのビジョン模索。政治理念、モラルは無視するに近い。2011/07/29
James Hayashi
17
両者の主要な作品は読んできたが、把握仕切れていない、読みこなしていない感じだった。読んでいる途中で迷路に迷い込んでしまった感じが幾つかの作品で感じていた。「ねじまき鳥ー」のノモンハン事件や享と井戸の関係や「国境の南、太陽の西」の女性の存在などメタファーなモノ、龍さんの飛び抜けた発想の「限りなくー」や「コインロッカーベイビー」など人を寄せ付けない感じを伴った。まだまだ理解できぬ作家先生であるが、この講義のような本を読み二人にさらに親近感を持つようになった。2015/06/17
きさき
12
★★★☆☆:サクサク系。W村上ブームとその歴史背景の勉強になる。後半、こじつけに感じる部分もあるけど、新しい解釈の発見もあったし、面白かった。2017/10/25
KASAO
11
W村上と呼ばれた龍と春樹を時代背景と作品の変遷を交えながら論じた本。戦後に起こったアメリカ文化の流入、経済効果による華やかさと虚無、九十年代後半から注目されるようになった14才という年齢など、それぞれの章でテーマに関連すると思われる作品を比較しているのが見どころ。二人の作家の作品をいくつも論じているので、あまり深くは掘り下げられていませんが、それぞれの作家の作風を知るのにはもってこいではと思います。春樹好きの自分も、龍作品を読みたくなりました。2012/11/08
TAKAMI
4
。村上龍が好きな人は村上春樹が嫌いで、その逆もしかりといったことがよく言われる(らしい)。そう言う人のことも理解できる。しかし2人には似たところがあって、そこが僕にとって彼らがスペシャルである所以だと思う。 この本は彼らの作品を通して、彼らが生きた時代がどういうものだったを検証したものだ。 2人の作品を読むことは、2人の生きる姿を見ることであって、すなわちそれは2人の生きた社会を見ることで、そこから僕は自分の生きる社会を見つめ、自分を見つめる。 結局のところ読書とはそういうものだと思う。2011/01/05