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内容説明
すべての親子は、気持ちワルイ。親が子の幸せを願う思いは無償なのか!? 子が親を慕う気持ちに偽りはないのか!? 「家族よ、ありがとう」「ビバ!親子」というメッセージが増加する日本社会。誰もが切実に悩み、求める「幸福な親子関係」はあるのか。親子の病理の根源を探り、処方箋を提言する。(講談社現代新書)
目次
第1章 親を殺す子どもたち
第2章 「なぜ生まれたのか」と問い続ける子どもたち
第3章 母に依存する娘、娘を支配する母親
第4章 母の愛は無償なのか
第5章 母性が加害性を持つとき
第6章 理想の家族にひそむワナ
第7章 「親子という致命的な病」への処方箋
第8章 親子という病のために「まだできること」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
104
私も親子関係がうまくいってないなので、何かヒントになるかもと思い、手に取りました。親子という関係は身近だからこそ難しいのだなと改めて感じました。それに苦しんでるのは私だけではない、と。「親子というこの致死的な病の影響を少しでも軽くするためには、病そのものに取り組むのではなく、視線を内から外へ、家庭内から社会へ、家族から他人へ、とそらすことしかない」とありましたが、これは本当。私も実家から出て親から物理的に離れることによって、だいぶ精神的に楽になりました。「親子だから解り合える」というのは捨てるべき幻想。2016/09/01
James Hayashi
27
精神科医、08年著。より身近である為、関係はより難しい。ひどい場合は殺人に至っている。エディプスコンプレックス、殺人、理解しあえない親子など様々なケースを見せられる点は参考になる。解決策も何点か挙げられている。親子である前に両者とも一個人という人間である。お互いのプライバシーを侵害せず良好な関係を築ける距離が大切な様な気がする。丁度本日のNHKで毒親(toxic parents)を特集していた。武田アナが自分の子育てを反省し涙ぐんでいたのが印象的。作中で使われた志賀直哉「暗夜行路」を読みたし。2019/04/19
佐島楓
19
親子という病につける薬はない、と著者はいう。結局、自分がしっかりして生きていくしか道はない。私は自己治癒の方法を仕事にしている。極めていくしかないのだろう、切ないけれど。2013/01/19
melon
16
分離不安を克服するには、兎にも角にも経済力(経済的自立)と孤独力(ひとりでいられる心の強さ)を高めておくべき。2014/11/20
めぐみ@マトリョーシカ中毒
10
「完全に健全な親子関係などあり得ない」と著者は言う。全ての親子はどこか病的であり、「親子という病はもう治らない」と。問題が深刻化するのは「親や子の目は外ではなくて家庭の内へと向けられて」おり、「世の中のどんなことより、私たち親子の問題が大切」と考えてしまうため。家庭の外に目を向けることが大切。養老孟司氏の本で、いじめや自殺など子ども達の問題は、自然に目を向けなくなり、学校・家の狭い人間関係だけの中で暮らしているから深刻化するのだ、という話があったのを思い出した。この本の結論と通じるところがある。2013/02/14