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内容説明
7人に1人の児童が困窮し、ひとり親家庭はOECDで最貧困。日本は米国と並び最低水準の福祉だ。日米での児童福祉の現場経験をふまえ、理論・統計も使い、多角的に実態に迫る。
目次
1 概論(貧困化の著しい日本の子どもたち なぜ子どもたちは貧困に陥ったのか?)
2 現実(学力格差と児童虐待 脳・身体・こころへの影響 貧困が子どもたちを蝕むプロセス)
3 対策(生活保護と児童養護施設はいま? 各国の貧困対策に学ぶ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
438
著者は現役の児童福祉司。またワシントン大学でソーシャルワークの修士号を得るなど、この分野での研究者としての側面も持つ。本書は12年前の刊行だが、その時と比べて状況が良くなっているとは思えない。なにしろ日本政府は未だに子どもの貧困に関する国際調査に参加していないのだ。このことからも、少くても政府は子どもの貧困を救おうとはしていない。ここでも、自己責任論を振りかざす新自由主義を標榜するのである。また地域の行政も、その主眼が子供を救うことが必ずしも第1義ではないのが現状である。タイトル通り、日本は子どもの⇒2020/06/21
Kentaro
31
貧困の文化のなかで育ちあがった人は、自我が弱く、疎外感や絶望感、劣等感を持ちやすい、現在の楽しみのみを志向し将来に対する備えをしない、衝動性のコントロールに欠ける、権威主義への強い志向、依存性の高さ、怠け癖などの心理的な特徴があると記しています。また、人生のなかの子ども期の欠如や早期の性的経験、妻や子どもを遺棄することの多さなども見られるとしている。 また、ルイスは、貧困の世代間連鎖を考えるにあたっても、貧困の文化論は重要であると位置づけた。ひとたび貧困の文化が産み出されると、存続してゆくことになる。2023/10/22
ごへいもち
29
国の施策によっては貧困を減らすことが可能。貧困を放置することは社会全体のコストアップ、将来的にも大きな損失。経済的な理由で子どもを養護施設に入れるべきでない、それぞれの家庭に経済的な支援をするほうが養護施設を充実させるより安上がり。読むほどに酷い現実。イラクの失敗はあってもブレアが良かった…2021/09/10
大島ちかり
22
2008年に書かれた本なのに、まるで今年の話をしているようです。子どもの貧困に関して政府がネグレストしてきたため、何の改善をする気もないということですね。アメリカの真似をしているので、アメリカのゆがみが今後の日本を見ているようです。子どもの貧困がなくなれば、国の負債も減ります。でもそんなことは政府もきっと知っているのでしょうね。2014/11/29
寝落ち6段
16
08年発刊、つまり十五年前のデータであることを踏まえて、現在はどれだけ子どもの貧困が変動したのかを考えなければいけない。仕事上、児童養護施設や児相、学校と関わる事が多いが、子どもを支える最前線の惨憺たる労働環境を目の当たりにして、子どもたちの明るい未来を想像するのが難しいと感じる。保護者の収入による子どもの格差。これは蟻地獄で、藻掻いても脱出が難しい構造になってしまった。本人の努力や資質に帰さない原因となっている。つまりは、社会構造が原因なのは明らかなのに、十五年経った今でも、偉い人は動かない。情けない。2023/11/28
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