内容説明
「僕は謝るだけの株主総会なんか、嫌だ」――苦労知らずの2代目が先代の後を継いでから、相次ぐ不祥事。一部の役員たちの会社乗っ取りの計画が動きだした! 経営者に必要な資質とは何か? どういう人物が「社長失格」なのか? 経済の現場を知る著者が、真に求められる経営者像を描いた表題作のほか、ピカレスクから、ユーモアまで、味わいの違う6編の経済小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mr.lupin
58
江上さんの作品は『社員失格』に継いで2冊目。6編からなる短編集。どの作品も社長の話かと思っていたが、そうでもなく色々な立場の人達の物語。表題の「社長失格」は何となく先が読めたけど面白かった。「僕の生きる道」もお気に入りの作品です。この本意外と読んでる人が少なくて少しビックリ。 ☆☆☆★★2017/11/26
Walhalla
17
全6話の短編集でした。 江上剛さんの作品は銀行系のものが多いですが、本作品では、いろんな舞台で描かれているのが印象的です。 表題作の「社長失格」は、いかにも江上さんらしいビジネス小説でしたが、最後の展開にはびっくりしましたね。 真の経営者の姿を見た気がしました。面白かったです。2016/03/07
はじめさん
11
短編集。表題作はカリスマ創業者が死に、跡を継いで社長になったのは息子。昼行灯と揶揄されるなか、懐刀たる副社長に近づいてくる幹部と、その後ろで糸を引く外資系企業の影。果たした二代目は社長失格なのか。/ 著者は元銀行員。探せば池井戸潤の他にも行員あがりの作家って大勢いるのかな? / 個人的ヒットは単位が足りず卒業もできず、就活もそうそうに投げてニート一直線の青年が、型を押したようなルーティン毎日を送る父親を気まぐれで尾行し、その秘密を目撃してしまう「あの夏の日」。卒業と失業。響きは似るが、天と地の差。(H282016/05/01
だいすけ
10
趣向の変わった短編集と著者自身が言っているように、他のものとは違う作風を感じる。「僕の生きる道」はどうしても続きが気になる。「あの夏の日」では、息子とリストラされた父親の温かい交流に何だか自然に笑みがこぼれてしまう。親子であると同時に、同じような境遇にいる者同士の共闘関係がうまく描かれている。2016/10/20
ゆうゆう
6
同じタイトル本を探していた時に図書館で借り。短編集。失格者を演じていた若社長。父の秘密を追い苦しみを知った息子。会社を救済するホワイトナイトを演じたはずがピエロだった無力感。でも、他人にどうマイナスに見られても、会社を詐欺から守ろうとする正直者のラストの話が清々しい。他人の目は関係ない。正しいことを正しいと言えるようでいたい。2016/03/08