内容説明
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“不惜身命”仏道のために一命を賭して西蔵(チベット)の聖地・拉薩(ラッサ)を目指した仏教者がいた。その名は能海寛。時は明治、近代国家形成に向け必死に背伸びする日本を取り巻く情勢は、その苛烈さを増していた。アジアにあって地勢の要衝であるチベットを制するために欧米列強の触手が伸びる。世にグレートゲームといわれる覇権競争である。仏教再興のためチベット潜入という壮挙を図りながらも、思いなかばで行方を断った能海の足跡を辿りながら、歴史のifに挑む著者会心の歴史ミステリー巨編、待望の電子化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
北森さんの作品としてはかなり「硬派」に属する作品であると思っています。再読ですが、沢木耕太郎さんの「天路の旅人」に触発されました。こちらの主人公はお坊さんで、日清戦争と日露戦争の間に西蔵に潜入してロシアに対抗していこうという司馬遼太郎の作品に出てくる明石元二郎(こちらは軍人ですが)を思い出せてくれます。このような作品をもう少し書いてほしい気がしました。2024/02/15
mura_ユル活動
41
北森鴻さん2作目。友人から薦められて、2ヶ月前から。ようやく、読了・・図書館本。歴史上での自分の未知の部分が嵌っていく感覚が読みを進める原動力に。話は日本が明治維新後の欧米列強に圧されつつある時代。仏教の原典を学ぶため、一人の僧侶能海寛が日本からチベットのラッサを目指す。山行での寒さの厳しさが伝わる。ロシアなどの列強の脅威と妨害。能海の本当の目的は?W.ウェストンや八甲田の彷徨や西本願寺と東本願寺の歴史も登場。能海のチベットを目指そうという、心の強さ・純真さが良い。最後は明治時代の三蔵法師の様にもみえた。2013/08/25
かっぱ
32
果たして国家の存亡を背負った真の密使とは誰のことなのか。日清戦争の勝利に沸き立つのもつかの間、迫りくる露国の黒い影。不凍港を求めて日本へと侵略の魔の手が伸びる。そんな中、ただ純粋にダライ・ラマへの接見だけを夢見て、遠き西蔵へと向かい歩き続ける能海寛。その傍らには、能海の純粋な心に打たれて命さえ惜しまぬ友たちの姿があった。史実を基に、冒険活劇に仕立て上げた北森さんお得意の明治もの小説。2015/10/08
じゅむろりん
25
時は明治。不平等条約で列強各国と肩を並べるため日本はアジアの要衝チベットに密使を送る。その密命を全く自覚していない仏教者能見は、純粋に日本仏教発展のために命懸けでラッサへ向かう。様々な思惑が交錯し命を賭して繰り広げられる修羅場は、史実のよう。テーマは固いのですが、歴史に詳しくなくても十分楽しめます。まさか、楊用の運命がこんなに壮絶になるとは。まさか、ここで終わるとは。北森氏の新たな魅力を発見できました。2019/08/29
備忘録
18
北森作品ではお馴染みのあの歴史ロマンの細部を小説化した形 能海寛は実在された方で基本的な流れも歴史通り、そしてそこの細部に北森さんが肉付けしていったのだと思うが、魅力的な登場人物達との旅の完遂を願いながら読んでいた 2025/05/06
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