内容説明
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江戸期には「妖怪」として畏怖されたツチノコは、1970年代に「幻のヘビ」として全国を騒がせ、「未確認動物」になってマンガや子ども向けの読み物で描かれて、いまも実在と不在の渦のなかで夢を与えつづけている。民間伝承では恐怖の存在だったツチノコがマンガや観光資源になり、海外でも受容されるようになるまでの足跡をたどる。
目次
序
第1章 ツチノコの正体
1 蛇の妖怪ツチノコ
2 蛇とうなぎとムカデの頭
3 器物の妖怪ツチノコ
第2章 ツチノコ談義
1 ツチノコ余話
2 本草書の怪蛇
3 のっぺらぼうとツチノコ
第3章 『逃げろツチノコ』を捕まえる
1 『逃げろツチノコ』の時代
2 ツチノコの誕生
3 山本素石がいた山河
第4章 ツチノコが歩んだ道
1 少年マンガとツチノコ
2 水木しげるが描いた「つちのこ」
3 「地方の時代」のツチノコ
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅独歩
2
「妖怪から未確認動物へ」という副題が、本書のテーマをよく言い表している。山本素石というキーマンの登場によって、「得体のしれないモノノケ(蛇ですらなかった)」が「実在するかもしれない異形の蛇」となった歴史を、順を追ってみていく。その結果、野槌もツチコロビもツチノ子も「ツチノコ」のイメージに統一されてしまい、伝承としての延命は得たが本質部分では殺される事になった。それを最も自覚していたのは他ならぬ素石自身だったが、彼が目をそむけた「キャラとしてのツチノコ」のその後の変遷が確認できるという意味で興味深い。2014/01/05
コウみん
1
妖怪から未確認生物になったツチノコ。 まるでヘビみたいな恰好で人間たちに見せられているツチノコだが、実際にツチノコは存在するのか。 様々な文献にも出てきたツチノコの話と日本人たちに守り神として信じられてきたツチノコの物語だった。2020/10/31
ばふお
1
各地で多種多様に伝承される「妖怪ツチノコ」がどのようにして画一化されたイメージの「未確認動物ツチノコ」に変化したのか、そしてそれが何故ブームを引き起こしたのかについて論じた本。ツチノコを利用した各地の村興し戦略にも言及してる。妖怪や未確認動物そのものについても踏み込むので、そのへんが好きな人におすすめ。民俗学に興味がある一人も読むといいんじゃないかな。2012/10/21
qoop
1
在地伝承が中央の文献によって塗り替えられ、実見者の記憶が書き換えられ、地域を越えて全国区のウワサになっていく…妖怪が未確認動物として〈認知〉される過程で失われた文化的内容の豊かさを惜しみつつ、未確認動物化することで逞しく生き残ったツチノコの生命力に目を見張る。相反する感想を覚えた。2012/08/03
梟をめぐる読書
1
かつて「妖怪」であったツチノコがどのような異伝のもとに伝えられ、また1970年代以降の「ブーム」によってそのイメージがどのように画一化され、消費されていったのかが丁寧に論じられている。江戸近世の文献が多数参照される前半と、「水木しげる」や「ツチノコブームの仕掛け人」といったキャッチーな話題が提出される後半でトーンがだいぶ異なっているが、それぞれ違った味わいでまた面白い。論旨は副題通りだが、個人的にはツチノコはまさに「未確認動物」と「キャラクター」の狭間で生きることになったのではないかと思った。2011/11/05
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