講談社学術文庫<br> 山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰

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講談社学術文庫
山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰

  • 著者名:吉野裕子【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2014/11発売)
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  • ISBN:9784061598874

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内容説明

蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか? 日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった。6~7世紀、中国から将来された易・五行による新たな神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになる。神島の「ゲーターサイ」、熊野・八木山の「笑い祭り」、御田神社の「烏喰神事」などの祭りや習俗を渉猟し、山の神にこめられた意味を読み解く。(講談社学術文庫)

目次

はじめに
序 章
一 倭建命伝承と日本古代信仰──祖霊の力と女の力
二 山の神の神格
1 『日本書紀』にみられる山の神
2 『古事記』にみられる山の神
三 山の神の分類
蛇と猪
第一章 蛇と山の神
一 世界の原始蛇信仰
二 日本の原始蛇信仰
三 見立ての信仰
1 山を蛇に見立てること
2 家屋を蛇に見立てること

四 蛇の古名
1 「ハハ」と「カカ」
2 「神」の原意

五 日本創世神話と山の神
蛇から誕生する山の神
六 スサノヲ神話と山の神──足名椎・手名椎・櫛名田姫・八俣遠呂智の推理
1 足名椎・手名椎の推理
2 櫛名田姫の推理
3 ヤマタノヲロチ

七 蛇を秘める細小の神々
1 箸と櫛
2 ミノとカサ

八 産の神としての山の神
第二章 亥(猪)と山の神
一 山の神の分類
二 易・五行における亥(猪)
三 正倉院御物石板彫刻の戌・亥(犬・猪)

1 十干と十二支
2 五行配当表
3 一年の構造

五 「亥」の全体像とその分類表──各「亥」の再構成
1 「亥」の全体像
2 「亥」の分類表
六 山の神の本質(その一)
1 十二山の神
2 妻の異称「山の神」

七 山の神の本質(その二)
1 三合の法則によるその変容
2 支合の法則によるその変容

第三章 山の神祭りとその周辺
一 カラス祭り
1 御田神社の烏喰神事
2 カラス祭り資料
3 各資料の要約と整理

二 陰陽五行と迎春呪術
1 古代中国人の四季推移に対する意識
2 犬の磔
三 神島の「ゲーターサイ」
1 神 島
2 ゲーターサイ
3 祭名の推理──迎太歳

おわりに
本書所収論考初出発表誌・書目一覧表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】

22
*日本宗教論*日本神話・陰陽師ネタの小説読解の為読了。ヤマトタケルの伊吹山の荒神討伐、古事記では大蛇、日本書紀では白猪となっている。この事実から端を発し、日本の自然崇拝から、ジブリ作品『もののけ姫』のかなり根幹的な部分まで推し量る事が出来る珠玉の1冊――ヤマトタケルのこのエピソード。実は『もののけ姫』のタタリ神の話とリンクしています。十二支を時計回りに並べると巳と亥が対極に位置する。 ⇒続き2013/07/29

yamahiko

19
様々な民俗行事を比較しながら、エッセンスを収斂させたその先、あるいはその基層には、蛇、猪、五行を置く。一読では十分理解が及ばなかったが刺激的な一冊でした。2017/01/15

リタ

13
山の神と言っても箱根駅伝の本じゃないですよ!(ここ笑うところね)日本の各地で敬われ畏怖される山の神とは一体どんな存在で、どんな意味を内包しているのか。民俗学的なアプローチで、その本質に迫ったのが本書です。キーワードは蛇と猪。これが山の神から祖霊にまで繋がるのだから目からウロコ。更に陰陽五行思想が絡んできて、日本の習俗が孕む複雑さを実感!謎をひとつ紐解くと、思いもよらないところに枝分かれして拡がってゆく。日本人に根ざしたものは、多様でとても深いようです。何度も頷きながら読んだ私は、間違いなく、日本人です。2015/02/16

∃.狂茶党

12
民俗学にも了解事項はあるのだろうし、共通の方法論などもあるのでしょうが、一人一派のような側面がいまもなお色濃い。 そんな、まだ固まらない学問、時代と共に過去の痕跡が失われる、民俗学。 いくつかの代表作と異なり、引用多数の文章は、学問的には落ち着いたもののように思える。 しかしそれは、暴走気味の論考を読みたい私からすると、少し物足りない気もするが、これは私が、吉野民俗学に慣れただけかもしれない。 雑誌、単行本などに発表した文章を元に編み直されたもののようです。そういう意味で一つの小さなまとめでもある。 2023/01/31

筑紫の國造

9
日本の古代信仰の源流を探る、というなかなか興味深いコンセプトの民俗学本。実際、なかなか面白い部分もある。山の神としての蛇神が日本の古代信仰の基底にあると推理したり、中国の易と陰陽の影響を指摘したり。しかし、その推論はあまりにも無理やりな部分が多く、首肯しかねる所がちらほら。まず「蛇神」という結論ありきで考察しているように見えてならない。そして、注釈がないのもかなり痛い。途中から「亥」を巡る推理が行われるのだが、陰陽五行と易の用語や考え方があまりよくわからない。「概説」もあるのだが、あまりに不足している。2018/10/10

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