内容説明
幕末の外国奉行・勘定奉行・陸軍奉行・海軍奉行を歴任した小栗上野介。鎖国論が根強い幕閣にあって、一貫して海外との交流を主張し、常に世界と時代の行方を見据えていた。逼迫する財政を支えながら、西洋から産業・貿易・金融の制度や技術を移入し、近代軍隊の育成に努めるなど、その手腕は幕政全体に及んだ。しかし、この知略溢れる主戦論者に不安を抱く倒幕軍は、小栗追討令を出す――。江戸末期の政権を背負い、次代を準備した孤独な男とその一族の悲劇を描いた力作。
目次
倉渕町で
権田の六十五日
不気味な存在
罪なくして斬らる
会津逃避行
越後路
会津戦争
小栗一族の明治
日本という国
国家改造計画
小栗失脚
大英雄にあらず
上州路
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
29
幕末、旧政府軍の幕臣として徳川家について最後まで戦おうとしていた小栗ですが、慶喜の弱腰のせいで田舎にもどることになりました。しかし、そこで待っていたのは、多額のお金を持っているという根も葉もない噂と、それに翻弄されて小栗を襲撃しようとする地元民でした。何とか追い返しますが、このせいで無実の罪を着せられ斬られてしまいます。小栗は、今の横須賀基地の基礎を作った人で、このおかげで日露戦争に勝つことができた、と言っても過言ではありません。これからもっと小栗のことを学んでいきたいと思います。2016/06/28
とみやん📖
4
これは面白かった。司馬遼太郎の「明治という国家」を先日読んだ中で、小栗上野介を褒めていたくだりがあり、関心があった。小栗と言えば、昔TBSで徳川埋蔵金の特番でいつも出てくる名前(笑) この本でもご多分に漏れず、勝海舟とどちらが上か問答が出てくる。2人とも英傑だったのは間違いない。 榎本武揚、河井継之助、岩倉具視、小栗上野介と関連本を読んだので、次は大村益次郎、つまり司馬遼太郎の「花神」を満を持して読みたい。これは楽しみで仕方ない。2025/02/10
ひろ
2
筆者の尋常でない情熱と愛情があっても、この人物が結局どのような歴史的貢献をしたのか、浮き彫りにすることはできていない。勝者による歴史「作り」がいかに根深いか、驚く。2014/10/20