内容説明
ひとは、いつか死ぬ。それをはじめて知ったのは、いつのことだろう――。入院先のベッドの上で非業の死を遂げた男の「憎悪の転生」、ある痴呆老人の部屋に見え隠れする怪異の「黒い子供」、夏に小中学生の男女が離れにこもって行った暗い遊びのエロスと恐怖を描く「夜枷」など全五編。汗ばむ真夏の闇夜を切り裂く、傑作怪談・ホラー小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みや
35
「死」に限りなく近い場所へ誘われ、恐怖を体験するホラー短編5作収録。映画のノベライズ本以外では、初めて読む作家さんだった。表紙で期待したほどには怖い作品が無かったので、ちょっと物足りない。主人公がみんな中年男性で、ホラー×おじさんという組み合わせが新鮮に感じた。身内の葬式が増え、自分の体の衰えを感じることで、「死」を身近に思うようになる年齢なのだろうか。独特な味わいがあった。 寂れた温泉宿に来た男女が不穏の連続に怯える「屍の宿」、介護用品を扱う男性が痴呆老人たちと触れ合う「黒い子供」が面白かった。2017/10/19
りず
13
なぜソレが起こるのか…に、明確な回答は示されないんだけど、その謎さが絶妙で良い感じに不気味さを出していて良かった!好きな感じの、意味が分かると怖い系の作品ばかりで、楽しい短編集だった。やっぱり想像させられると怖いなぁ。2021/07/12
鬼灯の金魚草
9
福澤さんの本なので怖いかな?って思って借りたけど、そぉゆうのじゃないって思った。2016/06/20
ぎん
9
疲れきった登場人物で読んでいるだけで気だるさを感じる。面白かったのだが、読んでいる間はずっと嫌な気分にさせられるので、苦手な人には勧められない。ホラー的な怖さよりも嫌な面を掘り進めていく生理的な怖さを感じる。2015/09/09
🌙 🈷 が き れ い
6
初めての福澤徹三。五つの短編からなる怪談・ホラー小説集。入院先のベッドの上で非業の死を遂げた男の「憎悪の転生」、中年男とその愛人が旅先で泊まる「屍の宿」、客である痴呆老婆の部屋に現れる怪異の「黒い子供」、夏に小中学生の男女二人が離れに籠って行った暗い遊びのエロスと恐怖を描く「夜伽」、印刷会社に勤める中年男が自宅の屋上で遭遇する「降神」。いずれも死にまつわる私小説である。気味が悪く後味も悪かったが、面白かった。2021/11/25