内容説明
「デス・バイ・ハンギング」――。東京裁判(極東国際軍事裁判)でA級戦犯7名に絞首刑判決が下ってから60年。「日本の軍閥」は正しく裁かれたのか?! 「歴史の暗部」は明らかになったのか?! 裁かれた側と裁いた側が負う責務とは?! ――そして戦後ニッポンは、果たして変わったのか?! 壮大なる歴史ドラマに隠された数多くの教訓を、どう受け止め、どう伝えるか。昭和史研究の第一人者が新史料を得て、その歴史的意義と次世代の責務を問いなおす。好評『昭和史の教訓』に続く注目作。
目次
序章 昭和史清算のひとつの形
第1章 裁判の全体図―可視と不可視の部分
第2章 裁いた側の論理と歴史的責任
第3章 裁かれた側の弁明とその義務
第4章 判決のもつ意味と戦後社会
終章 六十年目の東京裁判、歴史への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加藤久和
6
東京裁判と言えば政治的な論争のイメージを持ちがちだが、私達は戦後日本の出発点と言えるこの重要な裁判についてどれほどのことを知っているのだろうか?各々の政治上の主張はひとまず置いて、まずはこの裁判についての基本的な知識を確認することから始めるべきだ。東京裁判については極端な政治的立場からの偏った論考が多いのに対して、本書の著者は冷静にこの裁判の功罪を見極めようとしており基礎知識を得るに信頼できる本だ。各国の様々な思惑がからみつき、複雑極まるこの裁判の結果を「東京裁判史観」などと容易に割り切ってはならない。2014/03/04
しゅんのすけ
1
東京裁判(極東国際軍事裁判)でA級戦犯7名に絞首刑判決が下ってから60年目に書かれた新書であるが、戦後70年目に読了。近年は、東京裁判史観などと批判されることが多く、罪刑法定主義の点からも、また、容疑者を非現実的な共同謀議容疑で裁いた点でも問題の多いこの裁判であるが、筆者は、この裁判を膨大な資料を用いた昭和の軍事主導体制の清算の一つであり、事実を知らされてこなかった日本国民や天皇への説明責任の場として意義があったと評価している。2015/11/16
kimx202
0
東京裁判についてきちんと解説してくれる。2010/09/10
Humbaba
0
京裁判は,すでに歴史上定まった事実である.しかし,それに関する研究はそれ程進んでおらず,このままでは風化してしまいかねない.都合の悪いことであっても事実を事実と認めて,次なる一歩を踏み出すことが大切だろう.2010/08/08
惰性人
0
否定するでもなく、肯定するでもなく、歴史の教訓として受け止めます。2009/03/02