内容説明
東京から南へ二百二十キロ。太平洋に浮かぶ巌倉島は、イルカの棲む島として知られている。平和なこの小島で、動物行動学者・比嘉涼子は環境保護NPOの一員として、イルカの生態調査に従事していた。だがその平穏な日々は、突然出現したシャチの群に破られる。島のイルカたちを救うために、一頭のシャチ=モビィ・ドールへの追跡が始まった……。海に生きる生命を鮮やかに描く海洋小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
54
イルカもシャチも熊谷さんも好きだけど、あまりハマらず。メインの二人に好感が持てなかったからか。セリフも浮いて聞こえる。『邂逅の森』と全く違う。2018/06/30
yamakujira
7
イルカで観光客を呼んでいる巌倉島にシャチがやってきてイルカが襲われ、観光業が大打撃、法的にシャチを駆除も捕獲もできずに困った事態に、島に駐留する動物学者が挑む。自然保護思想の問題点を提示して、野生動物との共生を考えさせてくれる物語は、作者らしい意欲的なテーマだと思う。でも、涼子と真弓の関係とか、葛西の人物造形とか、島に居着いたシャチの謎とか、どうも軽くて、いい話になりすぎて物足りない。架空の島名にしてるものの御蔵島が舞台なことが明らかだから、島に対する遠慮が筆を鈍らせたのかな。 (★★★☆☆)2016/07/14
Riopapa
5
イルカを観光資源にした島にシャチが現れ、難問が。シャチの捕獲が問題になるとは知らなかった。2022/02/06
HoneyBear
5
イルカとオルカの話。動物保護の問題も。軽快で面白い。
どえみ
4
山が舞台の多い熊谷先生ですが、 こちらはイルカとシャチとちょっぴり恋愛(笑) 舞台は御蔵島。 「水が苦手で海水浴にさえめったに行かないこの私が、 いやいやながらも海に入ったのはもちろん仕事のため。」だそうです(笑) でも実際イルカの群れと一緒に泳いだら「おーっ」とか「わぁー」とか 声をあげて堪能したとか。 最近少し本を読む時間が限られて来てしまいましたが、 やっぱり開くと安定するのよね。気持ちが。何よりの安定剤。2014/09/11