内容説明
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現行の注釈書や従来の解釈に問題はないのかと問い直し、注釈作業を練磨する中から、本文に即したより正確な理解を獲得すること、そうした手続きを経てはじめて『源氏物語』の読み取りは真の意味で更新され、問題意識は再び他者と共有しうるものになるのではないか。源氏物語の自閉した「私の読み」を超えるために。
目次
序 『源氏物語』の人物・和歌・表現
1 作中人物と言葉(情け・六条御息所と光源氏
六条御息所生霊化の理路-「うき」をめぐって
朝顔姫君の形象と主題-「変わる心」と「変わらぬ心」
光源氏論-澪標巻「思ふ様にかしづき給ふべき人」をめぐって)
2 作中和歌の領分(白露の光そへたる-夕顔巻の和歌の言葉へ
氷閉づる月夜の歌-朝顔巻の和歌の解釈をめぐって
浮舟と「峰の雨雲」-浮舟巻「かきくらし」の一首をめぐって
踏み惑う薫と夢浮橋-宇治十帖の終末についての試論)
3 物語世界の内と外(三歳源氏の内裏退出-桐壼巻の時間と延喜天暦准拠説
光安朝の遊離魂現象と『源氏物語』-葵巻の虚と実
松風巻論-光源氏の栄華の起点として
宿木巻論-時間・語り・主題)
結 闇に惑われぬ光源氏と「不致仕」の思想-物語の精神的基底