内容説明
歴史の中で「悪」のレッテルを貼られているものどもは、ただ単に「政争に敗れたものども」にすぎないことがままある。その一方で、これまで「正義の味方」と思われていた英雄が、じっさいには、「本当の悪」だったということもありえるのだ。また、地域や立場の違いによって、人物評ががらっと変わることも十分考えられる。幕末の京都で暴れ回った新撰組がいい例だろう。倒幕派にすれば新撰組は極悪人だが、江戸幕府からみれば、「忠義の人々」である。敗れる側に自ら身を挺した彼らの姿に、「滅びの美学」を嗅ぎ取ることもできる。では、古代史の「ワル」どもの正体はいかなるものだったのだろう。悪徳の天皇と罵られた雄略天皇。天皇家をないがしろにした蘇我入鹿。独身女帝を手玉に取り、皇位を簒奪しようとした道鏡などなど。古代史には個性豊かでふてぶてしい輩がわんさかといる。彼らの正体はいかなるものだったのか。古代史の「ワル」どもの正体を明かしていこう。
目次
第1章 神話伝説に登場する悪党(高天原で乱暴狼藉を働いたスサノオ;日本神話の象徴は曲者だったヤマトタケル ほか)
第2章 悪徳天皇の時代(史上初めて天皇に逆らった長髄彦;仲哀天皇の妻を寝取った住吉大神 ほか)
第3章 聖徳太子と悪党たち(仏教導入に反対し朝廷に楯突いた物部守屋;古代史最大の悪人・蘇我入鹿 ほか)
第4章 天平の怪人・怪僧たち(歴史のどんでん返しを用意した持統天皇;藤原のひとり天下を築いた藤原不比等 ほか)