集英社文庫<br> さよならバースディ

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集英社文庫
さよならバースディ

  • 著者名:荻原浩
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 集英社(2008/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087462951
  • NDC分類:913.6

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内容説明

霊長類研究センター。猿(ボノボ)のバースディに言語習得実験を行っている。プロジェクトの創始者安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継いだ。実験は着実に成果をあげてきた。だが、真が由紀にプロポーズをした夜、彼女は窓から身を投げる。真は、目撃したバースディから、真相を聞き出そうと…。愛を失う哀しみと、学会の不条理に翻弄される研究者を描く、長編ミステリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しんたろー

187
ボノボのバースディに人間の言葉を理解させて交流する大学の研究室での事件を追った物語…動物との意思疎通に関する興味深い部分や研究員・真たちとバースディのやり取りが魅力的で飽きることなく読み進められたが、ミステリに関しては雑に感じる部分が多々あった…謎の提示は悪くないが、その動機や方法が苦しく思えてしまう。荻原さんの得意技であるユーモアの片鱗は伺えるが、人の醜さとバースディの純粋さを対比すればするほど、ミステリはおざなりになってしまった気がする。終盤の会話が切なくて肝なので、これが狙いなのだろうと納得した。2019/06/25

オリーブ子

85
奥多摩の研究センターでボノボに人間の言葉を習得させる研究の話。 タイトルからいつかはバースディとの別れ、研究が終わることが明示されてしまい残念。 だけど内容が濃く、一気に読めた。死の真相を探ると見えてくるもの、研究者らしいアプローチ、岡崎や林原、高杉社長夫人、キリスト教文化圏の学者たちの話…。 サッカーのビデオを見て、カーンにシンパシーを感じるバースディには笑ったし。 ラストの真と由紀の会話はルール(制限かな)で、シンプルな言葉を選んでのやり取りに泣けた。システムを作った由紀の気持ちが痛々しいなぁ。2016/04/29

ちょこまーぶる

74
面白く読んだ一冊でした。霊長類研究センターでの猿のバースディーの言語習得実験に纏わる学会の悪しき慣習と助成金の闇そして若き二人の研究者の悲しい末路を描いているミステリーですが、小説の設定が現実に起こりそうな状況だと思い、非常に興味深く読み進めました。一番心打たれたのは、バースディーが自らキーボードを打って語る単語の羅列で、その言語がとっても純粋で、その言葉を読む人の心を瞬時に澄んだものにしてしまうパワーを感じてしまったことだと思います。そして、ラストはバースディーに由紀が憑依しているようにも思えました。2021/04/03

わか

74
バースディとは人間の言葉がある程度分かるボノボのこと。動物物は泣いてしまうので敬遠していましたが、泣くほどはなかったです。前半は、主人公のマコと由紀とバースディの研究の様子がとても微笑ましかったです。ボノボに言葉を教えるって興味深かったです。後半は慕っていた安達教授と恋人の由紀が自殺してしまう理由が弱い気がしました。あまり感情移入できなかったです。でも、ラストのマコとバースディのやりとりは、シンプルな分、バースディの無邪気さが際立ち、大変に切なかったです。荻原さんにしては少しだけものたりなかったかな。。2015/04/18

chiru

70
チンパンジーの一種ボノボに言葉を習得させる『バースディ・プロジェクト』。 3才のバースディがとてもおりこうで可愛い。 研究室で起こる事件の目撃者はバースディだけ…。 人間のエゴと対照的な、無垢で賢いバースディ。 わずか100語足らずの単語を使って、人間に真相を伝えようとするバースディに最後は泣いてしまいました。★42018/01/25

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