ちくま文庫<br> 兎とよばれた女

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ちくま文庫
兎とよばれた女

  • 著者名:矢川澄子【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 筑摩書房(2015/08発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 150pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480424440

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内容説明

神さまは兎のすべてでした。とにかく神さまが好きだったから。兎は、どんなに苦しくても孤独でも美と純粋を求めつづけたのでした。兎を主人公とし、神と呼ばれる、見えない存在との精神性の高いやりとりと、絶対的な愛を描く。「不滅の少女」と呼ばれた矢川澄子の代表作であり、真骨頂!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

276
三重の入子構造といった構成をとる。とはいえ、それ自体は複雑というわけではない。むしろ、その構造は中が透けて見えるくらいにシンプルだということもできる。現実を幻のあわいに包んだ序章と終章。そして、スミの国の物語では自分が自分であることの孤独が語られ、さらにその核心部に位置する「かぐや姫に関するノート」では、自分が女であることの不条理とやるせなさが語られる。それは、ある種のニヒリズムのようでもあり、また無常観のようにも思えるものだ。「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」―本書の本質を見事に表現した一句だ。2015/09/28

新地学@児童書病発動中

120
ファンタジーの翻訳家として名高い矢川澄子の自伝的な小説。自伝といっても、リアリズムではなくて、ファンタジーや童話的な内容。全編を通して描かれるこの世界への違和感が心に残った。私も同じようなものを抱えてると言えるかもしれない。ファンタジーの衣をまとわなければ、もっとどろどろした話になったかもしれない。それをしなかったのは、矢川さんのはにかみと文学的な素養だったのかもしれない。2014/03/23

YM

72
二階堂奥歯さん恋愛ものベスト15より。著者は澁澤龍彦の元奥さん…。実生活を寓話的に書いてるらしいので、なかなかに複雑な心境。話の筋はすんごい捉えずらい。え?なになに?ってとこが多々ある。ただ、主人公(おそらく著者)は、ものすごい束縛されて、女としての喜びも否定され、それでも好きで好きで大好きで幸せで尽くしたけど、結局、わたしってなんなの?みたいなことが綴られる。そして気づいたら別世界に行っちゃった…。この本と、新しい出会いで何となく浄化できたんかな。澁澤さんの言い分も気になるけど、これ以上は下世話だね。2014/12/19

yn1951jp

45
まるで貝合わせの貝…こまかな凹凸をぴったり埋めるわたし…そんなちゃちな翼でとんだつもりになっているおまえがかわいいねえ、と…我に返ったときは、すでにあとのまつり。かつて兎がおのれひとりの苦難と思いこんで苦しみ、迷いぬき、あげくの果てに現実を断念せざるを得なかったこと。それは…兎ひとりの身にかぎられたものではなかった…私はいまこそ救われる…ひかりか。それともよろこびの涙か。「いづくへか帰る日近きここちしてこの世のもののなつかしきころ(晶子)」矢川は、かぐやの如く自ら選んで地上世界に見切りをつけたのでしょう。2015/02/22

なる

38
特定の人物像を想起させる序章の「翼」、そこから神様と兎の住む小さな島国の物語として御伽噺のような話が展開されて行く、はずが、途中に「かぐや姫」に関するノートが登場するという入れ子構造になってから「かぐや姫」の再構築を図るも物語としての混乱は容赦なく、いつしか「兎」も「かぐや」も混沌とした渦の中に巻き込まれて行くよう。むしろ作者自身の生き写しのようでもあり。のちの運命を考えてみたときに、ある種この登場人物たちの選ぶ答えに出ていたのかもしれない。冒頭の「彼に」というたった一言からなる序文がまた。2023/06/11

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