講談社学術文庫<br> 中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界

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講談社学術文庫
中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界

  • 著者名:笹本正治【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2014/11発売)
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  • ISBN:9784061598683

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内容説明

音に託された意味の変化から中近世の日本社会を読む。中世において誓いの場や裁判の場で撞かれていた神聖な鐘は、次第に日常的な音になり、危険や時刻を知らせる役割を果たすようになった。神の世界と人間をつなぐ音から、人間同士をつなぐ音へ。その変遷を、史料に加え民俗学の成果も多分に用いて考察する。記録には残りにくい当時の人びとの感性や感覚を追うことで、中近世の社会・文化を描き出す。(講談社学術文庫)

目次

まえがき
はじめに
第一章 これまでの研究
西洋史の成果/日本史の成果/私の問題意識
第二章 誓いの鐘をめぐって
金打について/諏訪大社の宝鈴/御岳金桜神社の起請神文の鐘/小野神社の鐘/中世の誓いと鐘
第三章 他界から来た鐘
水中・龍宮から来た鐘/鐘淵・沈鐘伝説/実際に海中や水中から引き揚げられた鐘/地中から出た鐘/なぜ鐘が地中や水中と関係するのか
第四章 鐘の音の効果
鐘の起源と形/地獄に落ちた者を救う鐘の音/あの世とこの世を繋ぐ音/雨乞に用いられる鐘/龍頭と龍神/鐘の音に対する意識
第五章 無間の鐘
遠州の無間の鐘/『河内屋可正旧記』に見る無間の鐘/各地の無間の鐘伝説/歌舞伎・浄瑠璃と無間の鐘/無間の鐘伝説の成立について
第六章 音を出す器具と音の役割
鈴/鰐口/鉦/鉢/鼓/太鼓/笛/法螺貝/梓弓/琴/釜鳴り/音を出す道具の意味
第七章 神仏の出現と音
神仏の出現や往生の例/天狗や河童の出現と音
第八章 夜の世界
夜に対する意識/民俗事例から見た夜/夜は神々の支配する世界/夜と昼の交錯する黄昏時
第九章 鋳物師に対する意識
炭焼長者の話/鍛冶屋の姥/鍛冶屋や鋳物師の特性/鋳物師に対する意識の変化
第十章 神隠しと鉦や太鼓
妖怪の出現する時間と場所/神隠し/神隠しにあった人の探し方/鉦や太鼓で探すことの意味/徳政の鐘の音/入相の鐘
第十一章 軍器としての鐘や太鼓
戦争と鐘/陣太鼓/陣鐘/連絡用の鐘/軍器として徴発された鐘/鐘に対する意識の変化
第十二章 時の鐘
合図としての鐘の音/時刻を告げる鐘/時間観念の普及/時の鐘の普及/近世の生活の中の時間
第十三章 寺の増加と山のお寺
民衆への仏教の浸透/一向宗と日蓮宗/兵農分離と寺院/近世の民衆生活と寺院/山のお寺
第十四章 鋳物師の増加
梵鐘の増加/近世における各地の鋳物師の増加/全国的な鋳物師の動き/鋳物師増加の原因
第十五章 近世の危急を告げる音
近世における危急の音/声を立てる/貝と拍子木/鐘/太鼓/板木/共同体としての鐘下
第十六章 娯楽としての音楽
音楽の画期/中世までの音楽/戦国時代の音楽/娯楽としての近世の音楽/民衆の娯楽としての音楽
おわりに
あとがき
学術文庫版に寄せて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

5
1990年初出。信濃国伊那郡文永寺(現飯田市)の釣鐘、平岡村(現天龍村)(55頁)。「地獄に落ちた者を救う鐘の音」(81頁~)。中世の人びとは、鐘の音をこの世とあの世を結ぶ媒体であると考えていたようだ(94頁)。現代人は雑音に翻弄され、鐘の音に疎いのではないか。感性、感覚がおかしいのであって、鈍感なのであろう。商人は耳が痛いというような内容の『河内屋可正旧記』(102頁~)。大桑村にも伝説があるという(105頁)。草創期の歌舞伎にはまだ三味線がなかった(316頁)。雑音、騒音ではなく、美しい音楽を望む。2013/05/18

たけぞう

1
面白い!西洋史での研究にも触れられていましたが、鐘にまつわる事例としても結構パラレルなものが見出されて興味深いです。2012/06/08

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