内容説明
【第133回直木賞受賞作「花まんま」映画化決定!】
まだ幼い妹がある日突然、母のお腹にいた時のことを話し始める。それ以降、保育園をぬけだし、電車でどこかへ行こうとしたり、習ったことの無い漢字を書いたり。そして、自分は誰かの生まれ変わりだと言い出した…(表題作「花まんま」)。
INFORMATION
映画『花まんま』
2025年春 全国公開
出演:鈴木亮平 有村架純
監督:前田 哲
配給:東映
公式HP:https://hanamanma.com
~映画化によせて~原作者の言葉
私が書いた『花まんま』は八十枚ほどの短編で、もともとは子供である俊樹とフミ子の物語でした。今回の映画化の際には、原作をそのままに生かしつつストーリーを膨らませ、見事に世界を広げていただきました。私の手が届かなかったところにまで気持ちが届いていて、原作者冥利に尽きるというものです。さらに存在感のある出演者の方々には期待が高まるばかりで、まさに私一人では見ることができなかった『花まんま』です。
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昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公たちの思い出が語られる。ちょっと怖くて不思議なことや、様々な喜びやほろ苦さを含む物語に、深い感動と懐かしさがせまる傑作短篇集。
第133回直木賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
336
子供の頃、今思えば笑っちゃう事たくさん信じてたなぁ!妖怪や口裂け女は絶対いたし、むしろ何度か見たって気がしてた。宇宙人に連れ去られた人、水曜スペシャル川口浩、ホント怖かった(笑) 私のような世代を昔に帰してくれるノスタルジックな短編集。主人公達が子供の頃に確かに体験した不思議な出来事をリアルに紡ぐ。人の死を纏うストーリーが子供目線と軽い大阪弁で瑞々しく読める!表題作【花まんま】迂闊だった!電車で鼻水グスグス(涙) 周りの人不安になったよね、ゴメン風邪じゃないです。昭和親父世代の致涙率多分100%‼️🙇 2020/05/30
pino
226
路地裏、横丁、高架下。子供たちの声に近寄ると、ぽつんと仄暗い場所がある。ぽつんと座る子供。何を思っているの?生・死?それとも・・朱川さんの優しい眼差しの向こうには沢山の不思議がいる。思い切り笑える不思議もいれば、厳しい現実を残酷なまでに叩きつける不思議もいる。小さな掌から逃げていく幸せを見つめる子供の虚ろな目をみるのは辛い。だが、脆くて儚げな子供たちが、世間に揉まれながら強かに(そうせざるを得ない)生き抜いている姿を見ると救われる。あの場所で不思議に遭遇したのは子供の頃の大人かも。懐かしくてほろ苦い物語。2013/04/21
おしゃべりメガネ
217
直木賞受賞作品で朱川さん初読みでした。6編からなる短編集で、なかなか不思議な感じのする作風でした。ファンタジーともちょっと違うし、ホラーまでキツくはないし、本当になんとも言い難いです。読みづらくはないですが、文体に慣れるまでちょっと時間がかかりました。ちょっと乙一さんっぽく感じたりもした作品もありました。作品全体に昭和のステキなノスタルジーを感じました。ほっこりとまではいきませんでしたが、和やかな雰囲気を感じるコトはできると思います。本作だけでは判断しがたいと思いますので、他の作品にもチャレンジします。2019/02/12
青葉麒麟
203
お初の作家さんだけど、他の作品をもっと読みたいと思った。短編其々に作風が違うもんなぁ。ちょっと淫靡で背徳的な『妖精生物』がかなり印象に残った。一番好きなのは『凍蝶』大阪の下町にお邪魔したくなりました。2014/02/03
エドワード
183
大阪に住む小学生の俊樹の妹フミ子は、自分は繁田喜代美という女性の生まれ変わりだと言う。喜代美が暮らしていた彦根を二人で訪ねると、フミ子は初めて来た街なのに繁田家へたどりつく。喜代美の父は娘が殺されて以来、何も食べられず骸骨のように痩せていた。フミ子は白と赤のツツジで作った弁当を渡す。驚く繁田家の人々。それは幼い喜代美が作っていた「花まんま」だった。人を死なせて苦しみから救う「送りん婆」も印象的だ。ゴジラ、パルナスのCM、サンダーバード、妖怪人間ベム。昭和40年代のセピア色の記憶が蘇る。2012/11/05