内容説明
脳と神経の第一人者が、谷崎潤一郎『鍵』、プルースト『失われた時を求めて』、タブッキ『レクイエム』など30作品を診る。全く新しい視点から小説を読み解く知的エッセイ。
目次
アンドレ・ブルトン『ナジャ』―クロード教授とババンスキー
谷崎潤一郎『鍵』―足底反射と挙睾筋反射
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』―瞳孔反応
ウィリアム・アイリッシュ『じっと見ている目』―閉じ込め症候群
松本清張『或る「小倉日記」伝』―脳性麻痺
森鴎外『澀江抽齋』―脳卒中
ナサニエル・ホーソーン『七破風の屋敷』―ランデュ=オスラー=ウェーバー症候群
アーサー・L.・コピット『ウィングス』―失語症
ベルンハルト・シュリンク『朗読者』―読み書きの神経機構
ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』―失名辞〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウユウ
36
途中飛ばしたところもありますが…。でも、手元に欲しい本だと思いました。2017/02/10
たまご
20
自分の既読本も何冊か取り上げられていましたが,うーん,岩田先生はこう読むかー,と,目を開かされることしきり.読書体験はこんなに違ってしまいます…自分の軽すぎる読書体験が恥かしい. 現在の神経内科の最先端の知識・エビデンスはもちろん,19世紀からの神経内科の始まりから,江戸時代の医学にまで,岩田先生の博覧強記(ってここで使わなきゃ誰に使うんだ)の知識から繰り出される縦横無尽な考察,すごすぎです.ぜひぜひ,皆様に読んでほしいです.そして2015年12月15日に続編が出ています.2015/12/24
秋良
14
古今東西の文学作品から神経内科的な疾患を抽出して分析する、職業病が過ぎる一冊。まあでも、専門職の人が自分の守備範囲のものに反応する気持ちは分かる。疾患の検討だけでなく、描写から作家本人が罹患していたのかも推察している。こいつはガチだぜ……。神経内科を選ぶ奴は変人しかいないって変わり者の神経内科医が言ってた。樋口夏子の診察をしていたり、安保闘争に参加するか友達と話し合ったり、世代を感じるエピソードも楽しい。あらすじからまた気になる作品が出てきて、ブルトンのナジャや北条民雄を読んでみたくなった。2024/05/16
Tatsuya Michibata
4
まず表紙がボス(缶コーヒーではない)の絵なのが興味をそそりました。ちょうど本の中頃にちょっとだけボスの話が出ております。それはさておき、かなりおもしろい。私が医者だからでしょうか。私ほとんど外国の文学を読まないのであまりなじみのない作家の作品がけっこうありましたが、興味深く読めました。医師でない人が読んだときどういう感想をもつのでしょうね?この中で紹介されている本を読んでみたり、場所に行きたくなりました。今度ちょうど長崎に行くので、小島療養所あとにいってみたいと思っております。2016/01/30
saba
3
文芸作品に描写されるいろいろな病気、症状を医師の識見で解説したもの。読みやすいし、納得もできる。続刊もあれば嬉しいのだが